2022年1月20日
第4回 生命(いのち)を見つめるフォト&エッセー 受賞作品
第4回 生命を見つめるフォト&エッセー 受賞作品
第4回 生命(いのち)を見つめるフォト&エッセー(日医・読売新聞社主催)の受賞作品が決定いたしました。
たくさんのご応募ありがとうございました。下記に受賞作品をご紹介いたします。
フォト部門
※受賞作品名をクリックして頂くと別ウィンドウで開きます。
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文部科学大臣賞【小中高生の部】
「リラックス」
眞砂 光季
(神奈川県) -
優秀賞【小中高生の部】
「お別れね!愛護センターまた来てね!」
今東 洸心
(宮崎県) -
優秀賞【小中高生の部】
「海の風をかんじて」
富田 才來
(神奈川県)
審査員からのひとこと
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■野町和嘉(写真家/日本写真家協会会長)
厚生労働大臣賞の「姉の気づかい」は、まさに現在の社会状況が反映された心温まる姉妹の写真です。黒の背景が写真の効果として非常に大きく、手前の姉妹やマスクを引き立てています。コロナ禍での淡々とした日常を表現している良い作品です。
日本医師会賞の「ひ孫に会いたいなぁ」は、施設の中で家族との面会もできないおばあちゃんのひ孫の写真に見入る素晴らしい表情を捉えています。また背景に看護師さんが映りこんでいることで、その場の空気感がよく伝わってきます。
読売新聞社賞の「必ず通じ合える」はタイトルが面白いですね。子猫の表情は隠れていますが、子牛の目によって繋(つな)がりを感じさせてくれます。暗く撮影条件が悪い中で、わずかな光が子牛に当たって、生き生きと表現できているところが良いですね。
審査員特別賞の「パパの手は大きいね」は、生まれて間もない赤ちゃんを撮影したよくある写真なのですが、ひげのある男性の無骨な手というところに意外感があって、赤ちゃんの目つきといい、好奇心が掻き立てられる楽しい作品ですね。
文部科学大臣賞の「リラックス」は、2匹の猫を撮った作品ですが、毛色と大きさからして親子なのでしょう。撮影している人の気配など全く気にしている様子もない伸びやかな寝姿から、家族の一員に収まっている猫たちと暮らす穏やかな日々の様子がうかがえます。 -
■岩合光昭(動物写真家)
厚生労働大臣賞の作品は、マスクが今年ならではですね。撮影をされた方にも様々な想いがあるのだろうなと思います。自分より先に妹のマスクをかけてあげようとするお姉ちゃんの優しさと、妹の素直な表情が、真っすぐに伝わってくる作品です。
日本医師会賞の作品は、おばあちゃんの笑顔がとても良いですね。背景に人のやり取りが見えますが、この空間がないときっとこの笑顔にはなりません。写真に大切な「空間」がよく捉えられています。
読売新聞社賞の作品は、牛の温かさをとても感じます。「必ず通じ合える」というタイトル通り、異種間でもおでこをくっつけることで互いに通じ合えるのかもしれない、ということを動物たちの様子から思います。
審査員特別賞の作品は、お父さんの手、その手を握る赤ちゃん、そしてこれを撮ったお母さんと、家族の愛が伝わってきます。背景の赤色が写真をおしゃれに見せていますね。黄色と赤、赤ちゃんの顔色から健康的で生き生きとした生命を感じます。
文部科学大臣の作品は、何気ない猫の姿を写真という形にするのは、簡単なようで難しいものです。それを構えずに感じたまま撮る、真っすぐな若さを感じる作品です。親子の猫の無防備な寝姿が微笑ましく、作者と共感できます。 -
■松下奈緒(女優/音楽家)
厚生労働大臣賞の作品は、今の日本を象徴する1枚だと思います。夏だから半袖なのにマスクをしないといけない状況と、妹への思いやりをとても感じられる写真でした。
日本医師会賞の作品は、可愛いおばあちゃんの笑顔が印象的でした。微笑ましく見つめる先のひ孫にいつ会えるのか、いろんな想像をかき立てられました。
読売新聞社賞の作品は、子牛と子猫という不思議なペアが凄く可愛いです。大きな牛のまなざしが猫の方に感じられるのも良いですね。今年は丑年で私は年女。なんだかご縁を感じました。
審査員特別賞の作品は、こんなに赤ちゃんの手って小さかったっけ?!いや、お父さんの手が大きいからだよ?!という面白い構図でした。赤ちゃんのなんともいえない表情もこの写真にマッチしていて好きです。
文部科学大臣の作品は、親子の猫ちゃんでしょうか?2匹仲良くお昼寝している様ですが、小さい方の猫ちゃんの寝相がアグレッシブでずっと見ていたい写真です。
エッセー部門
一般の部
- 厚生労働大臣賞
- 「私は何者ですか?」
- 長町 明子(福岡県)
- 日本医師会賞
- 「もう、逃げない」
- 案浦 加奈子(栃木県)
- 読売新聞社賞
- 「お年」だろうが、なかろうが
- 田中 昭子(鳥取県)
- 審査員特別賞
- 「O先生へ」
- 相野 正(大阪府)
- 入選
- 「小さくなった父がくれたもの」
- 行重 茜(兵庫県)
- 入選
- 「医者やっててよかった」
- 小林 綾己(沖縄県)
- 入選
- 「小さな棺」
- 木森 香織(福井県)
- 入選
- 「高知赤十字病院第7病棟」
- 前田 哲雄(高知県)
- 入選
- 「桜の季節に」
- 髙野 妙子(栃木県)
中高生の部
小学生の部
- 文部科学大臣賞
- 「せんしこうたい」
- 五月女 結音(東京都)
- 優秀賞
- 「お父さんのがん」
- 溝口 美桜(福岡県)
- 優秀賞
- 「私のお兄ちゃん」
- 戸田 智咲(富山県)
- 優秀賞
- 「いつか、わたしも」
- 西田 江里菜(岐阜県)
審査員からのひとこと
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■養老孟司(東京大学名誉教授/解剖学者)
入選作はいずれも印象的で、例え単純なエピソードであっても、こちらが考えさせられることが多かった。若い人たちの作品はいつもながら甲乙つけ難く、表現については注文をすれば限りがないが、それでも作者の気持ちはよく伝わってきたと思う。入選しなかった人も、気を落とさず、さらに頑張っていただきたい。
例年であれば、直接にお目にかかる機会があって、思わぬご縁を発見したり、さまざまなお話を伺うことができて、たいへん参考になるのだが、今回は残念なことにその機会がない。将来あらためてそういう機会が得られることを期待している。 -
■玄侑宗久(作家/福聚寺住職)
毎回感じることでもあるが、医療をめぐるエッセーは人生模様そのものである。今や医療の世話にならずに生まれるのも、死んでいくのも希有(けう)なことなのだからそれも当然だろう。大往生あり、死産あり、その中間には無数の病気と闘う人々がいる。今年は新型コロナウイルスという新たな脅威が加わったわけだが、作品の中にはまださほど影を落としていない。
描かれる中心は、何と言っても医療関係者との出逢いだ。中には病院での出逢いで、人生に再起する人もいる。書くことで出逢いを再確認することを、是非お勧めしたい。またコロナ禍が多くの出逢いを妨げないことを、切に祈りたい。 -
■水野真紀(俳優)
4回目となり、読み応えのある作品が更に増した印象です。たくさんの作品を拝読し、「いのち」とは、「いのち」に関わる人に様々な思いを抱かせるものだと感じています。それは、つかみどころがなく、自身の年齢や置かれた立場、また人生の経験値によって、見え方や感じ方が異なることでしょう。
でも、使い古された表現ではありますが、「いのち」とは「かけがえのないもの」であることには変わりありません。希望と絶望がない交ぜになってこその「いのち」と、多くの作品が伝えてくれています。
コロナ禍にある今、「いのち」について、新たな視点を得た方は少なくないのではないでしょうか。貴方の視点で「いのち」を感じ取って下さい。