2019年5月1日
第2回 生命(いのち)を見つめるフォト&エッセー 受賞作品
小学生の部【優秀賞】
「おじいさんの足」
横山 紗来(9)兵庫県
お正月をすぎたころ、おじいさんの右足が、閉そく性動みゃくこう化症になってしまいました。24年前から人工とうせきをしているので、血かんの内がわにカルシウムなどがたくさんくっついて固まり、足先まで血が流れなくなったのです。右足のはだは赤黒く、親指のつめだけがとても白くぶあつくなって、とれてしまいそうなくらい、うき上がっていました。とてもいたがっていますが、いたみ止めを飲むとひどい
おじいさんは、カテーテルという細いくだを使って血かんを広げる手じゅつを受けました。足先につながる血かんに血が流れるようになって、わたくしは、これで一安心だと思いました。でも、ちがいました。おじいさんの足のいたみは、前よりもっと強くなったのです。一日中いたがっています。ねむる時が一番ひどくて、ベッドで、かけぶとんが親指にふれただけで、いたくてさけんでしまうので、おばあさんが一ばん中起きて、お世話をするようになりました。だから、二人ともねむれなくて、すごくつらそうにしていました。
わたくしは、夕方おじいさんとオセロをすることにしました。おじいさんはオセロが苦手ですが、わたくしに勝ちたくて、一手をおくのにすごく時間をかけてなやみます。楽しく集中して、いたみを少しでもわすれてくれないかなと考えました。それに、おじいさんがなやんでいる間、おばあさんが夕食の用意をしている横で、皮むきや卵をまぜたり出来ました。二人が、ちょっとだけでも楽になっていたらいいのになと思います。あと、おじいさんは、あやとりを知らないので、教えました。指がこわばってむずかしいけど、つづけるとよい運動になるかなと、わらっています。でも、急にはげしくいたみ出すと、おじいさんの手は止まり、右足は勝手に、ガタガタと大きく動いてしまいます。あまりのいたみに、顔をしかめてがまんしているおじいさんを見て、わたくしは思わず大声で、「なおれなおれ~!」と、わたくしの手のひらをおじいさんの右足にかざして、いたいのいたいのとんでいけ~、をしていました。何回かすると、おじいさんがわらい、もう大丈夫だと言ってくれました。足のゆれも止まっていました。
わたくしは、いたみをわすれてねむる方ほうも考えてみましたが、まだ思いつけません。けれど、おじいさんが楽しくわらっていられるように、今出来ることを、わたくしもいっしょに、つづけていきたいと思っています。