妊娠期の課題

  公開日:2021.09.14 / 最終更新日:2024.04.01
Point
  • 体調が悪くなることも多く、
  • 周囲のサポートが
  • 欠かせません。
  • 受けられる措置についても
  • 知っておきましょう。

① 妊娠中に仕事や通勤が負担になる女性は少なくありません

妊娠中はつわりや貧血、動悸、めまい、むくみなどの様々な身体的症状が起きやすく、仕事や通勤に困難を感じることも少なくありません。なかでも、つわりは妊婦の約50~80%が悩まされるものです。しかし、つわりが始まる妊娠初期は流産の懸念などもあるため、周囲に妊娠を告げにくいと感じ、職場の同僚や上司の支援を求められない人もいます。つわりが落ち着いてくることの多い妊娠中期以降も、職場環境や職務内容によっては、妊娠中の症状が悪化したり、切迫流産・切迫早産などの異常につながったりする可能性があります。
医師は、妊娠にかかわらず「休む」と言い出しにくい職業です。しかし、これまでどおり働くのが辛いと感じたら、妊娠初期であってもできるだけ早めに妊娠を報告し、相談をするようにしましょう。上司だけでなく病院の総務・人事部門にも忘れずに相談し、受けられる支援や負荷軽減措置について確認するようにしましょう。産前・産後休業や育児休業、復帰後のことなどについても相談することができます。

② 妊娠中の負荷を軽減するための法律や制度があります

妊娠中や産後で辛い症状がある場合は、下記の表のような様々な負荷軽減措置を受けることができます。必要に応じて勤務先に申し出るようにしましょう。辛い症状がある場合は、妊婦健診の際などに主治医や助産師に相談し、症状だけでなく仕事の内容や労働時間、作業環境、作業中の動作、通勤の状況などを詳しく伝えましょう。

●働く女性の母性健康管理措置・母性保護規定

<医師等の指導がある場合に受けられる措置>(男女雇用機会均等法第13条)
・妊娠中の通勤緩和(時差通勤、勤務時間の短縮、交通手段・通勤経路の変更など)
・妊娠中の休憩に関する措置(休憩時間の延長・増加、休憩時間帯の変更など)
・妊娠中または出産後の症状に対応する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業、作業環境の変更など)

<妊産婦本人が請求すれば受けられる措置>(労働基準法第65条・66条)
・軽易業務転換
・時間外・休日労働・深夜業の制限
・変形労働時間制の適用制限(1日および1週間の法定労働時間を超えての労働の免除)

指導事項を職場に伝える際のツールとして、「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」があります。主治医や助産師が指導事項を記載し、妊婦本人がそれを勤務先に提出することで、指導事項が的確に伝わるようになるので、ぜひ活用しましょう。

③ 薬物や放射線についての対策が必要です

妊娠初期は、胎児の薬物や放射線に対する感受性が最も高い時期です。胎児への影響がある放射線量の閾値は0.1グレイとされており、それ以上の放射線量を受けると流産や奇形、発育遅延などの可能性が出てきます。
医師は放射線曝露のリスクが高い業務が多く、配慮が求められます。法令では妊娠中の女性の線量限度が定められていますが、不安がある場合は周囲にサポートを求め、業務を調整してもらうようにしましょう。

④ 妊婦健診を受けるために、休暇を取得することができます

妊婦健康診査(妊婦健診)を受けることで、妊婦さんの健康状態や赤ちゃんの発育状態を定期的に確認することができます。毎回実施する体重測定・血圧測定および尿検査に加え、血液検査・内診検査・超音波検査なども、妊娠週数により組み合わせて行います。
厚生労働省が例示している妊婦健診のスケジュールは、下記のようになります。妊産婦(妊娠中または出産後1年以内の女性)は、医師等からの保健指導や妊婦健診を受診するために必要な時間を、事業主に確保してもらうことができると定められています(男女雇用機会均等法第12条)。そのため、有給か無給かは勤務先の規定によりますが、妊婦健診を受けるために休暇を取得することができます。
なお、妊婦健診費用は、市区町村に「妊娠届」を出すことで、公費により助成を受けることができます。

第0週~第23週 第24週~第35週 第36週~出産まで
4週間に1回 2週間に1回 1週間に1回
 第0週~第23週

4週間に1回

第24週~第35週
2週間に1回
第36週~出産まで
1週間に1回

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