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労働者を守る制度・仕組み
公開日:2021.09.09 / 最終更新日:2023.04.01- 勤務医も労働者として、
- 法律によって
- 守られていることを
- 知っておきましょう。
① 雇う・雇われるという関係は、契約で成り立っています
一般に、雇われて働く人を「労働者」、労働者を雇う人を「使用者」といいます。労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者および使用者が合意することによって「労働契約」が成立します(労働契約法第6条)。労働契約を結ぶことによって、労働者と使用者の双方が義務を負うこととなります。
使用者は、労働条件を書面などで明示しなければなりません(労働基準法第15条)。明示しなければならない内容についても定められています(詳しくはこちら)。
また、常に10人以上の労働者のいる職場では、「就業規則」を作成し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
② 使用者の義務:労働者を守る
使用者は、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすることが定められています(労働契約法第5条)。ここでいう「生命、身体等の安全」には、心の健康も含まれます。「必要な配慮」は一律に定められるものではなく、職種や業務内容、職場などの具体的な状況に応じた配慮が求められます。
また、労働安全衛生法をはじめとする法令に定められる具体的な措置は、遵守されなければなりません。産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせることもその一例です。
労働基準法では、原則として1日8時間、週に40時間を超えて労働させてはならないと定めています。しかし使用者と労働者の協定*のもとに、必要に応じてこれらを超えた時間外労働や休日出勤等が例外的に認められます。ただし、その場合でも労働者の健康を守る観点から、一定の上限時間が設定されています。
さらに近年では、セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメント等を防止するための措置も、法律によって使用者に義務づけられるようになっています。
*36協定…法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働者に残業をさせる場合に締結・届出が必要となる労使協定。
③ 労働者の義務:誠実に勤務に専念する
労働者は、労働契約に基づいて労務を提供する義務があります。ただ出勤していればよいわけではなく、就業規則など職場のルールを守って働く必要があり、就業時間中は職務に専念する義務があります。一方で、就業時間中の肉体的・精神的な活動すべてを職務のために用いることが求められるわけではありません。その行為が職務専念義務に反しているかどうかは、職務の性質・内容、就業時間中に行った行為の態様など諸事情を考え合わせて、ケース・バイ・ケースで判断されます。
また、職場の秘密や個人情報をSNSなどに書き込む行為は、守秘義務に反する許されない行為であり、勤務時間外であっても懲戒処分の対象となります。
④ 労働者は法律によって守られています
ここまで示したとおり、労働者は以下のような様々な法律で守られています。
労働三法
労働基準法/労働組合法/労働関係調整法
その他
最低賃金法/労働契約法/労働安全衛生法/男女雇用機会均等法/
育児・介護休業法/パートタイム労働法 など
労働者は、使用者に対して弱い立場に置かれることがあるため、労働契約の変更や終了、就業規則の変更を使用者が一方的に行うことはできないと定められています。
使用者からの解雇は、客観的に合理的な理由を欠く場合、無効になります。やむを得ず解雇を行う場合でも、30日前に予告を行うこと、予告を行わない場合には解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払う必要があります。
一方、労働者の退職については民法に定められており、いつでも退職の申し入れをすることができます(民法第627条)。ただし、社会通念として突然の退職はできるだけ避けるべきでしょう。
その意味でも、医師が労働契約に関する基本的な考え方を理解しておくことはとても大事です。ぜひこの機会に覚えておきましょう。
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私は子育て中、臨床以外の仕事や、医療者教育といった分野で非常勤として働くことはありました。子育てが一段落し、再び医師としてフルで働ければと思いましたが、臨床の現場からは20年以上離れており、知識も手技も古くなっていたため、常勤でしっかり働くには再研修が必要だと思いました。
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