5. 地域の危険度を知るツール︓ハザードマップ
次いで登壇した国⼟交通省の蘆屋秀幸⽒は、「洪⽔を避けることはできない。だが、『洪⽔=被害発⽣』になるとは限らない」とし、災害予測ツールや、「ハザードマップ」の有⽤性を説いた。ハザードマップとは、洪⽔・⼟砂災害・津波などの災害リスクが予測される地域や避難場所を地図上に表⽰したものだ。
200名以上の死傷者が出た⻄⽇本豪⾬(2018年)では、ハザードマップで浸⽔が想定されていた範囲と、実際に浸⽔したエリアがほぼ⼀致していた。ハザードマップを事前に確認し、災害時の⾏動をあらかじめ想定しておくことが重要である。
蘆屋⽒は気候変動にも触れ、現在は1970年代に⽐べて、平均1.4倍ほどに豪⾬の発⽣回数が増えているという。今後、地球の平均気温が2度上がると、降⾬量は1.1倍になる。川の流量は1.2倍に増え、豪⾬の発⽣頻度は2倍となるため、かなり危機的な状況に陥ると、将来のリスクを説明した。
また蘆屋⽒は、将来に向けてハード・ソフト⼀体の対策が必要だとも訴えた。「気候変動に全て対応しようとすると、堤防だけではもたない可能性が⾼いのです。ダムや堤防整備と合わせ、街の中に貯留施設を造ったり、河川の上流で森林を整備したりするなど、地域全体で流域治⽔を⾏うことが重要です」。