【循環器内科】青野 智典先生
(山形大学医学部附属病院 第一内科)-(前編)
――青野先生はなぜ循環器内科を選ばれたのですか?
青野(以下、青):心筋梗塞や脳卒中といった疾患を持つ人が周りに多かったこともあり、入学前から心臓の疾患や救急救命に関心は持っていました。その後、臨床実習で循環器内科を回った時に、一番印象深かったのがカテーテル治療だったんです。胸が苦しいと訴える救急の患者さんを、すぐに心電図を取ってカテーテル室に運び、たくさんのスタッフが急いで集まって命を救う、といった一連の流れに自分も加わりたいと感じました。
――臨床研修病院は、どのように選ばれたのですか?
青:入学当初は出身地である茨城に戻るつもりでいました。けれど、6年間を山形大学で過ごすうち、部活の先輩をはじめ様々な人とのつながりができ、次第に土地にも愛着が湧いてきて、山形大学医学部附属病院に残ることにしました。1年目は大学を回り、2年目は酒田市の日本海総合病院へ赴任しました。そこでは3年目の先生について、問診や検査のオーダーや病棟業務といった循環器内科の初期対応を学びました。
――専門研修の様子をお聞かせください。
青:山形大に入局し、引き続き日本海総合病院に勤務しました。ここでは新規の患者さんも訪れる外来をいきなり任されたんです。患者さんが本当に循環器の疾患なのか、という鑑別から自分で行わなければならず、戸惑うばかりでした。外来の自分のブースから上級医の先生のブースまで、一日に何度も往復しては指導を仰ぐので、時間もかかって非常に大変でしたね。でも今思えば、かなり貴重な経験をさせていただいたと思います。
外来の他には、カテーテルの修練に励みました。カテーテルは検査と治療とに分かれていて、まずカテーテル検査をし、異常が見つかればそのままカテーテルで治療を行うという流れです。新人は、検査から修練を積み始めます。検査が安全に行えるようになると、治療の部分も任されるようになります。僕の場合、まず検査だけを200件経験するようにと言われました。200件を終えてコツをつかんだ4年目の頃から、治療も任せてもらえるようになりました。
【循環器内科】青野 智典先生
(山形大学医学部附属病院 第一内科)-(後編)
――日々の診療で、難しさを感じる場面はありますか?
青:手術するか否かの判断をする部分でしょうか。例えば山形県は高齢者が多く、持病の弁膜症から心不全を起こしてしまうケースがよくあります。心不全自体は薬で治療ができるのですが、手術して弁膜症を治さない限り、心不全が再発する可能性は高いです。入局当初は、このようなケースに出会った場合、「弁膜症を治さなければ」と考えてしまいがちです。でも上級医の先生からは、「高齢で体力がない人が、術後寝たきりになってしまうリスクを慎重に考えるように」とアドバイスを頂きました。
手術しないと判断したら、そのことを患者さんやご家族に説明しなければなりません。すんなりと納得していただくためにはどうすればよいのか、ずいぶん悩みました。これまで、臨床研修の時などでも、上級医の先生が患者さんに説明する場面に同席はしていましたが、いざ自分で説明するとなると、なかなかうまくできなかったんです。年次が上がると、いつまでも上級医の先生方の指示を仰いでばかりいるわけにもいかず、外来の隣のブースや病棟で先生方が説明されている時に、そっと聞き耳を立てることもありました。
――今後の展望をお聞かせください。
青:今年から大学院生として山形大に戻り、10月からは基礎研究を進めていく予定です。いずれは臨床に戻るつもりですが、一旦臨床から離れて、異なる視点で思考することは有意義だと思います。また、これまでの経験を振り返ってまとめたり、じっくり勉強する時間も確保できるかなと思っています。
循環器内科には様々な分野があります。山形は医師数も少ないので、まずはジェネラルに診る力をつけたいですね。そのうえで、やはりカテーテル技術を高めて、当初の志である救急救命に関わっていきたいです。一方、最近心不全治療にも興味が出てきました。高齢化が進むなか、今後は心不全の患者さんがますます増えていくことでしょう。心不全の患者さんの入院期間を短縮させたり、早期治療によってそもそも入院しなくて済むようにして、一人でも多くの患者さんを診られる体制を作っていけたらと思っています。
医学部卒業 | 2014年 山形大学医学部 卒業 | 卒後1年目 | 山形大学医学部附属病院 臨床研修 |
卒後3年目 | 山形大学医学部附属病院 第一内科 専門研修 日本海総合病院 循環器内科 | 入局後すぐ、日本海総合病院に赴任しました。この頃は、月曜日が救急対応、火曜日と水曜日が心臓カテーテル検査、木曜日が外来、金曜日がペースメーカー植え込み術、といった一週間を過ごしていました。 |
卒後5年目 | 山形大学医学部附属病院 第一内科 山形大学大学院医学系研究科 入学 | 大学院では基礎研究をする予定です。基礎研究は、今まで触れてきたことのない分野なので、まずは「基礎研究とはどういうものなのか」というところからしっかり学んでいきたいなと思っています。 |
2014年
山形大学医学部 卒業
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