松本吉郎会長は4月18日、自民党本部で急きょ開催された「医療・介護・福祉の現場を守る緊急集会」に出席し、医療機関の窮状を訴えるとともに、令和8年度診療報酬改定を前に、期中改定も視野に入れ、補助金と診療報酬、両面からの対応を改めて要望。更に緊急集会終了後には、自見はなこ参議院議員らと共に総理官邸を訪れ、石破茂内閣総理大臣に直接、要望を行った。 |
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今回の緊急集会は羽生田たかし・自見両参議院議員ら、参議院自民党有志15名からなる「医療・介護・福祉の現場を守る参議院議員有志」が昨年末に取りまとめ、加藤勝信財務大臣、福岡資麿厚生労働大臣、赤澤亮正内閣府特命担当大臣に提出した、診療報酬等に物価・賃金の上昇に応じて適切にスライドする仕組みを導入することなど、4項目を求めた緊急申し入れについて、医療・介護・福祉の関係団体と共に実現することを目指して、急きょ開催されたものである。
緊急集会は田畑裕明・今枝宗一郎両衆議院議員の司会で開会。冒頭あいさつした木原誠二自民党選挙対策委員長は「国の税収が増える中でも、医療・介護・福祉の現場は大変厳しい状況にある。そのギャップを埋めるのが自民党だ」と強調。田村憲久自民党社会保障制度調査会長は「医療機関、介護施設、全てが赤字でこのままでは日本が崩壊してしまう」と危機感を示し、参加者に対して医療・介護・福祉の現場を共に守っていこうと呼び掛けた。
その後は医療・介護・福祉の関係団体の代表らが決意を表明。白衣を着用し、はちまきを巻いてあいさつした松本会長は「医療機関の経営が大変厳しい状況の中で、一部に医療費の削減を前提とした主張が見受けられることに憤りを感じる」とした上で、令和8年度診療報酬改定の前に、期中改定も視野に入れ、補助金と診療報酬両面からの対応が必要になると強調し、その実現に向けた協力を求めた。
引き続き、昨年末の緊急申し入れに示した4項目をもって、医療・介護・福祉の現場を守っていくことを今回の集会の決議とする提案が、満場の拍手により了承された後、最後に参加者全員で「頑張ろうコール」を行い、緊急集会は終了となった。
緊急集会終了後、松本会長らは自見参議院議員らと共に総理官邸を訪問。石破総理と面会し、別掲の4項目の実現を求める緊急要望を、その内容に賛同する308名の自民党国会議員並びに自民党衆議院支部長等の署名と共に提出した。
緊急要望を受け取った石破総理は医療機関の経営状況について、「物価高、人手不足等により医療・介護・福祉の分野が大変厳しい状況にあることは承知している」とした上で、コロナ禍を経て国民が医療や介護の重要性を認知したことを踏まえ、その現場が疲弊することはあってはならないとの認識を示し、「補正予算及び本予算による支援が現場にきちんと届くことが鍵であり、支援策の効果や賃金と物価高の動向をしっかりと把握して適切な対応をしていきたい」と述べた。
これを受けて松本会長は、医療機関の窮状を訴えるとともに、「石破総理がおっしゃられたように、補助金や診療報酬等での適切な対応をお願いしたい」とした。
医療・介護・福祉の現場を守る緊急要望 |
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●診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス報酬等について、物価・賃金の上昇に応じて適切にスライドする仕組みを導入すること。特に今年から来年にかけては、著しく逼迫(ひっぱく)した経営状況に鑑み、期中改定も視野に入れること。 ●社会保障予算の目安対応について、歳入の十分な見える化を図りつつ財政フレームの見直しを行い、「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」との取扱いを改め、物価・賃金の上昇を踏まえた仕組みへと見直すこと。 ●上記を確実に行いつつ、薬価中間年における機械的な薬価引き下げの廃止を含め、薬価改定のあり方を見直すこと。 ●小児医療・周産期体制については、著しい人口減少により対象者が激減していることから、政策医療として体制整備を維持する為の別の仕組みの検討を開始すること。 |