自由民主党・公明党・日本維新の会の3党における協議が6月6日に行われ、持続可能な社会保障制度のための改革を断行し、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を実現するための実務者間の合意がなされたことを受けて、日本医師会は9日、見解を公表した。
今回の合意は、(1)病床再編の拡大、(2)医療DXの加速化―について行われたものである。
(1)では、今後不要になると推定される病床11万床について、地域の実情を踏まえた調査を行い、新たな地域医療構想が始まる令和9年度までに削減を図るとしている他、(2)では、5年以内に電子カルテの普及率を約100%にすることを目指すとしている。
これを受けて、日本医師会が公表した見解は、方向性には理解を示しつつ、地域医療への配慮を求めるものとなっている。
(1)については、令和6年度補正予算の病床数適正化支援事業で5万床を超える申請があったことに応えるものと理解していると前向きに評価。病床数の適正化を進めていく際には、①地域の医療ニーズを踏まえた上で必要な支援をし、丁寧に意見を聞きながら進めていく②病床数適正化支援事業の対象外となった4万数千床の病床については、優先的な支援の対象とする―ことを要請。
加えて、病床の削減ありきではなく、感染症パンデミック等の有事対応も含め、地域で必要な入院医療が無くなることのないよう勘案するとともに、全国の地域住民、患者やその家族、そして医療現場で懸命に命や健康を守っている医療従事者等が理解、納得する施策を望むとしている。
(2)に関しては、患者に安心・安全でより質の高い医療を提供し、医療現場の負担軽減に資するべく、日本医師会としてもしっかりと推進に協力していくとした上で、日本医師会が行った調査では「電子カルテの導入が不可能」という回答が全体の5割強を占めていたことを紹介。「これらの医療機関に電子カルテを強要することは、懸命に医療提供に取り組んでいる医師に医療からの撤退を促し、確実に地域医療の崩壊につながる」として、電子カルテ導入の義務化には賛同しかねると強調。まずは、最大の要因である費用負担の軽減(導入・維持費用の低減と十分な補助)の実現を強く要望するとともに、導入や更新がしやすい電子カルテを現場は期待しているとして、導入を希望する医療機関ができる限り導入しやすくなるような財政支援も強く求めている。
その上で、見解の最後では「今回の3党合意を受けて、着実に取り組みが進められていくことを期待するとともに、我々としても、地域医療をしっかりと守るべく、合意内容への協力を始めとして、最大限取り組んでいく」との考えを示している。
見解全文:https://www.med.or.jp/nichiionline/article/012258.html