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令和7年(2025年)3月5日(水) / 日医ニュース

海上保安庁などと「災害等に伴う検視等に係る相互協力に関する協定」を締結

海上保安庁などと「災害等に伴う検視等に係る相互協力に関する協定」を締結

海上保安庁などと「災害等に伴う検視等に係る相互協力に関する協定」を締結

 日本医師会はこのほど、海上保安庁並びに四つの医療関係団体(日本歯科医師会、日本法医学会、日本法歯科医学会、日本法医病理学会)と「災害等に伴う検視等に係る相互協力に関する協定」を締結することになり、2月6日に海上保安庁で行われた締結式には松本吉郎会長並びに細川秀一常任理事が出席した。
 日本医師会では同様の趣旨の協定を平成27年に警察庁と締結しているが、今回の協定は海上保安庁からの申し出を受け、協議を重ねた結果、締結したものである。災害、海難その他の多数の死者が発生する事象が生じた際、ご遺体の身元確認や検案等を迅速かつ的確に実施し、ご遺体を速やかに遺族等に引き渡すため、相互の連携を強化し、協力体制を確保することをその目的としている。
 協定は北海道・知床半島沖の観光船沈没事故や能登半島地震のような、多数の死者が発生する事故・災害での活用を想定。海上保安庁ではこれまで、海上保安官が検視や身元確認を行う際、医師や歯科医師の立ち会いが必要になることから、各地の海上保安本部・保安部が大学病院などに個別に依頼し医師らを確保してきたが、今回の協定により、事故や災害で多くの死者が発生した場合、海保本庁の警備救難部が5団体に連絡・要請し、会員医師らの派遣を調整してもらうことが可能となるとともに、海上保安庁側でも巡視船や航空機で医師らの輸送に協力することになる。
 2月6日に行われた締結式には松本会長の他、各医療関係団体の代表者が、海上保安庁からは宮澤康一次長がそれぞれ出席した(写真)
 宮澤次長は、医師らの派遣手続きや調整の迅速化だけでなく、情報共有の充実が図られることに期待感を示すとともに、協定の円滑な運用に努め、海上の安全・安心に取り組む決意を示した。
 医療関係団体を代表してあいさつした松本会長は「今回の協定締結を契機として、海上保安庁と日本医師会を含む5団体の実務担当者が顔の見える関係を築いていきたい」と述べた。
 また、2月13日に行われた定例記者会見では、松本会長が今回の協定締結について経緯を説明した上で、「今後、実際に大規模災害が発生した際の迅速な対応を確実なものとするためにも極めて有意義なものである」とその重要性を強調。「この協定締結を契機として、海上保安庁と5団体の実務担当者が『顔の見える関係』を築き、常に連携を保ちながら、災害の発生に備える取り組みを維持、向上させていくことが肝要である」と述べるとともに、これを将来にわたって引き継いでいくことが極めて重要であり、こうした取り組みを積み重ねることにより、国民の安全と安心に寄与していく考えを示した。

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