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令和6年(2024年)12月20日(金) / 日医ニュース

「未来ある子ども達のために、いま学校医ができること」をテーマに開催

「未来ある子ども達のために、いま学校医ができること」をテーマに開催

「未来ある子ども達のために、いま学校医ができること」をテーマに開催

 令和6年度第55回全国学校保健・学校医大会(日本医師会主催、宮崎県医師会担当)が11月9日、「未来ある子ども達のために、いま学校医ができること」をメインテーマとして、宮崎市内で開催(本年12月26日までオンデマンド配信中)された。
 午前には、「からだ・こころ(1)」「からだ・こころ(2)」「からだ・こころ(3)」「耳鼻咽喉科」「眼科」の五つの分科会が行われ、各会場で研究発表並びに活発な討議がなされた。

学校保健活動に対する長年の貢献を顕彰

 午後からは、まず、開会式並びに表彰式が行われた。
 開会式のあいさつで松本吉郎会長は、自身の学校医の経験を基に「学校医は大変やりがいがあり、魅力のある仕事である」とした上で、その魅力を次世代に伝えて欲しいと要望。今後については「子ども達を取り巻く環境は急速に変化し、学校での健康課題も増える一方ではあるが、未来を担う子ども達のために今できることから実行していきたい」と述べた。
 表彰式では、長年にわたり学校保健の発展に貢献した九州地区ブロックの学校医(8名)、養護教諭(8名)、学校関係栄養士(8名)に対し、松本会長が表彰状と副賞を、河野雅行宮崎県医師会長が記念品を、それぞれ贈呈(写真)。受賞者を代表して富田精一郎氏(学校医)から、謝辞が述べられた。
 次期開催県からのあいさつでは、開会式と表彰式の前に開催された都道府県医師会連絡会議で、次期開催県に決定した神奈川県医師会の菊岡正和会長から、令和7年11月22日(土)に横浜市内で次回大会を開催予定である旨の説明が行われた。
 その他、祝辞では、あべ俊子文部科学大臣(代理:堤俊太郎文科省初等中等教育局健康教育・食育課学校保健対策専門官)、河野俊嗣宮崎県知事、清山知憲宮崎市長、松本吉郎日本学校保健会長(代理:弓倉整日本学校保健会専務理事)、黒木淳一郎宮崎県教育委員会教育長からお祝いのメッセージが寄せられた。

シンポジウム

 引き続き、「学校医の魅力、やりがいとは何か~現状と課題を踏まえて~」をテーマとしたシンポジウムが行われた。
 「日本医師会作成『学校医のすすめ~そうだったのか学校医』発刊にあたって」と題して基調講演を行った弓倉日本医師会学校保健委員会副委員長/日本学校保健会専務理事は、約1年という短期間で日本医師会学校保健委員会の成果物の一つとして発刊された本書について、「その作成の背景には学校医の情報不足があった」と説明。その上で、学校医の法的、倫理的、社会的意義について読みやすく、分かりやすくすることをポイントに作成したことやその概要を説明し、積極的な活用を求めた。
 小児科医の立場から講演した児玉隆志児玉小児科院長は、宮崎県内の肥満児の割合が全国平均より高いことなどを受けて、宮崎市では、郡市医師会、教育委員会、各小中学校の関係者が連携した肥満等の早期発見の取り組みが行われていることを紹介。今後、県全体に活動が広がることへの期待感を示した。
 また、宮崎県小児科医会のアンケートを基に学校医のやりがいについて触れ、やりがいを高めるためにも学校医は学校との連携を深め、その活動の中で子ども達と触れ合い、その姿を見るべきとの考えを示した。
 耳鼻咽喉科医の立場から講演した松浦宏司松浦みみ・はな・のどクリニック院長は、耳鼻咽喉科学校医の課題として、①一人当たりの担当校数が多い②器具を用いた学校健康診断(学校健診)では洗浄・消毒などの負荷が大きい③学校医と耳鼻咽喉科診療の圏域が一致しない―などがあると説明。自身の経験を基に、養護教諭との連携を深めたり、学校保健活動に参画することにより、学校医としてのやりがいが高まる可能性があることを指摘するとともに、教育講演・指導によって、いかに受診行動につなげるかが重要になるとした。
 眼科医の立場から講演した石井紗綾おざきメディカルアソシエイツ/尾﨑眼科延岡院長は、事前に行った調査を基に、半数以上の医師が学校医にやりがいを感じ、「眼疾患の早期発見や子ども達の様子が分かる」などの意見があった一方で、「健診以外に学校を訪問できない」「時間的制約により日程調整の負担が大きい」などの意見もあったことを報告。多忙な学校医を支えるための方策として、リモート参加や教育ビデオでの対応などの活用を提案した。
 また、近年、近視の児童が増えていることにも触れ、それらの予防を通じて子ども達とのつながりを実感することができれば、学校医としての喜びややりがいにもつながるのではないかとの考えを示した。
 「養護教諭の立場から」と題して講演した那須さおり宮崎県教育庁スポーツ振興課健康教育担当副主幹は、地方都市では医師不足・高齢化による学校医の担い手不足が、実際に活動している学校医の時間的・精神的な負担増を引き起こす悪循環が生じていると指摘。「学校医は学校健診を通じて全ての子どもに関与することができ、地域の子どもの成長を支えているなど存在意義は大きい」として、この問題の早期の解決を求めた。
 その後はパネリストによるディスカッションが行われ、学校医不足の解消策として、医学生に関わってもらうといった提案や待遇改善を求める意見が出されるなど、活発な意見交換が行われた。

特別講演

 「夢を夢で終わらせない競泳人生」と題して特別講演を行った久世由美子元オリンピック競泳日本代表コーチは、動画を放映しながら、2004年アテネオリンピックから4大会連続で出場し、4個のメダルを獲得した松田丈志元競泳選手を4歳から28年間にわたって指導してきた歩みを紹介。日々の練習メニューはもちろんのこと、その時々に気付いたことについても細かくノートに記していたことなどを振り返った上で、自身のコーチング哲学に関しては「選手の指導に当たっては、科学だけではない心での指導と選手の感覚を大事にしている」と説明した。

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