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令和6年(2024年)6月20日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

混合診療は所得による医療格差をもたらすとして反対を表明

日本医師会定例記者会見 5月22日

 松本会長は、自民党のヘルスケア・トランスフォーメーションプロジェクトチームにおいて、標準治療前のがん遺伝子パネル検査や、バイオシミラーのあるバイオ医薬品などを念頭に、保険外併用療養費制度の柔軟な運用を求める提言が取りまとめられる方向であることを受けて、日本医師会の考えを説明した。
 松本会長はまず、主に将来の保険収載を前提とした「保険外併用療養費制度」と、所得や資産の多寡により受けられる医療に差をつける「混合診療」は全く異なるものであることを強調し、その違いを解説した。
 「混合診療」については、市場開放を志向しており、保険診療の範囲を制限することで、患者負担が増えても構わないという考え方に基づいているとした上で、「所得や資産の多寡により受けられる医療に差をつけるものであり、わが国の医療を根底から覆し、世界に冠たる国民皆保険制度を崩壊させるものだ」と指摘。国民の理解を得られるものではなく、日本医師会としても到底受け入れられるものではないとの考えを示した。
 一方、「保険外併用療養費制度」については、国民皆保険制度の中で保険診療を平等に提供することを原則としつつ、イノベーションの進展に伴い、新たに開発された医薬品等や高度の医療技術を、一定のルールの下で、患者が自己負担により利用できるようにしたものであるとした上で、特に「評価療養」については、安全性・有効性の確保を担保として、将来の保険収載を前提としていることを説明。「『保険外併用療養費制度』は、時代に応じて一定程度柔軟な運用も必要であり、近年では『患者申出療養』が同制度に追加されている」とした。
 次に、バイオ医薬品分野について言及し、日本で承認されているバイオシミラーは、本年4月現在で20弱であり、多いとは言えない状況にあることを指摘。バイオシミラーの更なる推進に向けて、患者や医療従事者に理解してもらうことが重要とするとともに、「国内における供給体制を強化・充実させ、安定供給を実現することが大切である」と述べた。
 更に、医薬品全般の安定供給に対しても、「半導体産業等に対する大規模な支援等が行われているのと同様に、国による積極的な補助金等を用いた支援を実施してもらいたい」と述べ、高市早苗健康・医療戦略担当大臣出席の下、4月24日に開催された内閣官房の健康・医療戦略参与会合でも同様の主張をしたことを紹介。「こうした取り組みの暁には、医薬品の国内生産力が高まり、国益に寄与するとともに、日本経済の成長にもつながっていくと考えている」とした。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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