閉じる

令和6年(2024年)1月10日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

新年に当たって

 松本吉郎会長は、1月10日に今年初めての定例記者会見に臨み、新年に当たっての所感を述べるとともに、本年の干支である甲辰(きのえたつ)にちなんで、「様々な変化を迎える、まさに画竜点睛とも言うべき年において、今後の医療の発展に向けて尽力していく」との決意を示した。

 松本会長は冒頭、1月1日に発生した令和6年能登半島地震、1月2日に発生した羽田空港での衝突事故において、犠牲になられた方々に心からの哀悼の意を表すとともに、被災された全ての方々や、今も避難を続けている方々にお見舞いの言葉を述べた。

 その上で、能登半島地震に関しては、地震発災直後より会内に災害対策本部を設置し、担当役職員らを現地に派遣している他、石川県医師会をはじめとする被災地との緊密な連携のもと、すでにJMATの派遣を行っていることを報告し、対応が長期化することも見込まれるとの見通しを示した。

 次に、本年のスケジュールについては、7月3日に日本医師会初代会長である北里柴三郎先生の肖像をデザインした新紙幣が発行予定であることに触れ、「100年以上前から予防医学の重要性を説かれた北里先生の志を受け継ぎ、治療を中心とした医療のみならず、予防・健康づくりにも引き続き貢献していく」と述べた。

 また、昨年を振り返り、(1)組織強化、(2)医療関係団体との連携、(3)令和6年度診療報酬改定、(4)医療DX、(5)医師の働き方改革、(6)感染症対応、(7)国民への医師会活動の周知―について、それらの現状や課題を概説した。

 (1)では、令和5年度より実施した医学部卒後5年目までの会費減免の他、本会常勤役員による都道府県医師会役員への訪問・面会などの取り組みの結果、昨年12月には会員数が17万5,933人となったことを踏まえ、「より多くの先生方と共にわが国のより良い医療を実現するため、引き続き組織強化に向けた活動を展開していく」とした。

  (2)では、医療は各団体の連携によって支えられているとして、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会、さらに、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会の四病院団体協議会などの各種医療関係団体とともに、「医療界は一体・一丸となって、これからも国民の生命と健康を守っていく」と述べた。

 (3)では、昨年の会見と同様に、「物価・賃金の動向、保険財政や国の政策など、さまざまな主張や議論を踏まえた結果であり、必ずしも満足するものではありませんが、率直に評価をさせて頂きたい」と述べた上で、三師会、四病院団体協議会、国民医療推進協議会など、医療界が一体・一丸となって対応した結果であり、各地域において、都道府県医師会・郡市区等医師会が、医療が置かれている厳しい現状や医療施策への更なる理解を求める活動を実施してくれたことも大きな力となったとした。

 (4)では、医療DXは、日本医師会が目指す「国民・患者の皆さんへの安心・安全でより質の高い医療提供」と「医療現場の負担軽減」の実現に資するものでなければならないとして、政府に対しては、サイバーセキュリティ対策も含めた、医療DXに掛かるコストに対する公的支援の拡充、並びに現場の負担軽減に向けた取り組みと情報発信を引き続き求めていく意向を示した。

 (5)では、4月から施行される医師の働き方改革の新制度において、医師の時間外労働の上限規制が開始されることについて、「医師の健康確保」「地域医療の継続性」「医療・医学の質の維持・向上」の3つの課題にしっかりと取り組むことが重要とした。その上で、日本医師会としては、厚生労働省から指定を受けた医療機関勤務環境評価センターの業務を中心に、医療機関および勤務医の先生方を支援していく姿勢を示した。

 (6)では、改正感染症法に基づく医療措置協定が4月から施行されるとともに、第8次医療計画が開始されることについて、日本医師会として、診療所の新興感染症への対応力を一層高めることを目的に、地域医師会のためのモデル研修を3月に実施予定であることを改めて説明した。

 今後の新興感染症対策では、新型コロナウイルス感染症対応医療機関を主な対象として、規模・機能に応じて都道府県と「医療措置協定」に関する協議がなされ、診療所が協定を締結する場合は、発熱外来や自宅療養者への健康観察を担うこととなると概説。ゾーニング困難等の理由で自院では対応できない場合には、協定を締結せずに新興感染症以外の患者を受け持ち、また地域医師会のセンター方式での発熱外来に参加することで、地域医療に対する役割を果たすなど、「診療所は、協定締結の有無を問わず、平時では地域医療の第一線を担い、有事である新興感染症の蔓延時にはそれぞれ相応の対応を行うこととなる」と強調した。

 (7)では、昨年より開始した「地域に根ざした医師会活動プロジェクト」について、10月に開催した「有事の医師会活動~地域、住民を守る活動~」をテーマとした第1回のシンポジウムに続き、3月に第2回のシンポジウムを予定していることを明らかにした。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる