松岡かおり常任理事は5月28日の定例記者会見において、今年の夏も厳しい暑さになることが予想されるとして、本年6月から改正労働安全衛生規則の施行により職場における熱中症対策が義務化されることを含めて、熱中症対策について解説した。
同常任理事はまず、熱中症による救急搬送件数について触れ、2024年は10年前の2倍以上となっており、7歳未満の子どもは約1.7倍、65歳以上の高齢者は約3倍に増加。更に、高齢者の熱中症の発生場所は住宅等居住場所が全体の約半数を占めているとした。
次に、熱中症対策について、特に高齢者は喉の渇きを感じにくく、体内の水分が不足しがちとなる上、暑さに対する体の調節機能が低下していることから、特に注意が必要だとするとともに、エアコンを上手に使用し、こまめな水分補給などを心がけるよう呼び掛けた。
他方、子どもは体に蓄えておける水分量が少なく、容易に水分不足に陥りやすい上、自分から危険を感知・回避する能力が乏しいことから、大人が注意して観察し、定期的な休息やこまめな水分補給を促すことが重要だとするとともに、夏の不規則な生活や睡眠不足は高温環境下での熱中症を加速させるとして、規則正しい生活と十分な睡眠を取るよう呼び掛けた。
また近年、職場における熱中症の死傷者数が増加傾向にあることを踏まえ、労働安全衛生規則の一部改正により、本年6月1日より職場における熱中症対策が義務化されたことに言及。事業者は「熱中症を生ずるおそれのある作業」を行う際、(1) 早期に発見するための体制整備、(2) 熱中症の重篤化を防止するための措置の実施手順の作成、(3)これらの体制や実施手順について関係作業者への周知―が義務付けられるとした。
更に日本医師会で、こうした状況を踏まえ、職場における熱中症対策に焦点を当て、釜萢敏副会長が1.暑さ指数と熱中症の関係2.熱中症予防基本対策要綱に基づいた熱中症対策3.職場における熱中症予防の具体例―について、産業医向けの研修会で使用できる解説動画を制作したことを報告。本動画を各都道府県医師会で行う産業医向けの研修会や、事業場の衛生委員会でも活用するよう呼び掛けるとともに、職場における熱中症対策により一層取り組むよう協力を要請。その他、日本医師会の熱中症予防情報サイトでは職場における熱中症対策の動画に加えて、熱中症の予防や対処法について解説した動画も掲載しているので、ぜひ活用して欲しいとした。
関連資料
問い合わせ先
日本医師会健康医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)