HPVワクチンを積極的に勧奨することが2021年11月にようやく決まり、2022年4月から再開しました。2013年4月に定期接種になった直後に、接種後に生じたという多様な症状への懸念から、わずか2カ月で積極的勧奨が取り止めになり8年が過ぎました。
この間に、HPVワクチンの有効性と安全性についてはもちろんのこと、接種率が激減した「停止世代」の女性が、将来、子宮頸がんの罹患率と死亡率の上昇が予測される研究データも出されました。そのため、「停止世代」の女性へ速やかにキャッチアップ接種の機会の提供と、子宮頸がん検診の受診勧奨の強化を行う重要性・必要性の声が上がりました。
そこで2021年12月に、この期間に接種を逃した1997年度から2005年度に生まれた女性全てを、来年度から3年間無料接種の対象とすることになりました。
積極的勧奨の再開に当たり、私達医師はHPVワクチンについてもう一度情報を整理し、理解を深める必要があります。安全な接種ができるよう、接種を受ける女性に、現時点における正確な情報をお伝えし、接種する方が納得するような丁寧な説明が求められます。
ワクチンとの因果関係は不明だとしても、接種後に多様な症状が出た場合には、国が指定した「協力医療機関」と連携を取り、適切な診療が受けられるようにすることも大切です。
(かまくら)