医師の働き方改革と地域医療構想を議論していく中で、必ず「医師のワーク・ライフ・バランス」という言葉が登場する。
コロナ禍において、開業医も通常の診療を超えて診療・検査体制の維持、宿泊療養者の健康管理、ワクチン接種等の活動に積極的に参加した。
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は、「仕事か生活かどちらかの時間を増やし、どちらかの時間を削る」という「時間のバランス」のイメージで捉えられがちであるが、人々の生き方や働き方が多様化した現在、あらゆる世代のあらゆる人々が心豊かに生活するための新しい視点が求められているのではないかと考える。
そこでわが市では、仕事と家庭生活の調和だけでなく、地域活動や社会貢献活動等に積極的に参加することによって、誰もが生きがいと充実感を持って、心豊かな人生を送ることができるという考え方を「真のワーク・ライフ・バランス」として提唱した。
「ライフ」=「人生」の中で、仕事、家庭、地域や社会、そして趣味や交友等の自分自身の生活において、さまざまな「つながり」に囲まれている。
「真のワーク・ライフ・バランス」は、これらの「つながり」の中で求められる役割や責任を踏まえて、ライフスタイルやライフステージに合わせて多様な選択肢の中から生き方、働き方を自ら選びマネジメントすることにより、単なる「時間のバランス」だけではなく、生きがいのある充実した人生を送ることができるという、独自の考え方である。
(洋)