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令和4年(2022年)2月10日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

中医協答申を受けて

 令和4年度の診療報酬改定に関する答申が取りまとめられたことを受けて、2月9日に日本医師会・四病院団体協議会合同記者会見が開かれ、日本医師会から中川俊男会長、松本吉郎・城守国斗両常任理事が、日本病院会から相澤孝夫会長が、全日本病院協会から猪口雄二会長が、日本医療法人協会から伊藤伸一会長代行が、日本精神科病院協会から長瀬輝諠副会長がそれぞれ出席した。

 中川会長は、同日に行われた令和4年度診療報酬改定の答申を受け、(1)新型コロナウイルス感染症への対応、(2)子ども・子育てへの支援、(3)働き方改革―についての見解を述べた。

 (1)では、日本医師会と四病協は、新型コロナウイルス感染症に全力で立ち向かっている医療機関への十分かつ適切な支援を求めてきたと前置きした上で、結果として、今回の改定の以前に診療報酬の時限的・特例的な見直しが行われ、更に今回の改定でその継続及び充実が図られたことについて「評価したい」と述べた。

 また、外来については、「外来感染対策向上加算」「連携強化加算」「サーベイランス連携加算」が新設され、外来の感染防止対策を下支えする仕組みがつくられたことに言及。更に、「新型コロナウイルス感染症の流行下においてはかかりつけ医が大きな役割を果たしている」とした上で、今回の改定において、「地域包括診療料」の加算の要件に、「予防接種にかかる相談への対応」が追加された他、「機能強化加算」の要件として「健康管理の相談に応じること」等が明確化されたことに触れ、「日本医師会として、更なるかかりつけ医機能の充実に努めていく」との意向を示した。

 (2)では、不妊治療・生殖補助医療が保険適用されることになったことや、不適切な養育等が疑われる小児患者に対する支援体制の評価の新設、「入退院支援加算」の対象にヤングケアラー及びその家族が追加されたことを挙げ、「子ども・子育て支援に診療報酬が寄り添おうとするメッセージと受け止めている」と述べるとともに、不妊治療については答申の附帯意見にあるとおり、早急に検証・検討を行い、より適切な内容に進化させていくことを要望した。

 また、「小児慢性特定疾病」「医療的ケア児に係る主治医と学校医等との連携」も、連携先を拡大する等の見直しが行われた他、「小児かかりつけ診療料」も、診療所等の体制に応じて算定できるよう見直しが行われたことに言及し、「子ども・子育てに心を寄せる多くのかかりつけ医の支援になる」とし、期待感を表明した。

 (3)では、医師の働き方改革を更に進める方向で見直しが行われたことを評価するとともに、看護補助者の活用推進の評価の新設を始め、チーム医療全体として働き方改革が支援されつつあることに言及。

 看護職員の処遇改善については、診療報酬プラス0.2%が当てられ、来年度上半期は補助金、10月からは診療報酬で対応すること、補助金は看護職員以外のコメディカルの賃金改善に当てることもできることを報告。医療機関が追加負担する必要がないよう、できるだけ幅広く公平に処遇改善の恩恵が行き渡るような制度設計を求めた他、「療養・就労両立支援指導料」の対象疾患や対象職種が拡大され、患者の働き方や生活の支援も進んできていることを紹介した。

 その上で中川会長は、「新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、今回の改定が医療提供体制のほころびを少しでも修復してくれること願う」とする一方、医療提供体制が患者の状態を少しでも損なうようなことがあれば、「抜本的な修正を要請する」ことを強調した。

 続いて、四病協の各団体から今回の改定に対する考えが示された。

 相澤日病会長は、「日本の医療提供体制の将来像についてしっかり議論されていない中で、今般の診療報酬改定は、現に実施されている医療政策の方向に医療機関を向かわせようとする誘導的なもの」と指摘。今回改定が多岐にわたり、非常に膨大であることに触れ、設定された要件や基準をクリアできず、経営継続のための収入を確保できなくなる病院も少なくないのではとの懸念を示し、診療報酬による過度の誘導の弊害に対して警鐘を鳴らした。

 猪口全日病会長は、今回改定が急性期医療の集約の名の下に、高度急性期に対する加算が付けられたとの認識を示した他、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について、「心電図モニター管理」の削除が決定されたことを問題視。更に、「地域包括ケア病棟の算定要件が厳格化されてきている」として、今回の改定を受けた上でシミュレーションを全日病としても行い、影響を見極めていく意向を示した。

 伊藤医法協会長代行は、新たに急性期の充実体制加算が設けられたこと等に触れ、急性期医療の充実の整備が進められたとして謝意を示す一方、今後、後期高齢者が増加していく中で、内科的な心電図モニターの評価が低くなることについては、内科系疾患を扱う二次救急病院への影響を懸念した。また、地域包括ケアに関しては、新たに二次救急や救急の告示が要件化されることについて、現実的な救急対応の実態を検証する必要があるとの認識を示した。

 長瀬日精協副会長は、今回改定で、看護職員の処遇改善に充当される0.2%の引き上げ分について、対象が地域でコロナ医療等、一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員となっていることに言及。その上で、医療機関の要件として、年間の救急医療加算算定を伴う救急搬送件数が年間で200件以上なっているため、現在、感染症に対応しているほとんどの精神科の単科病院が対象外となってしまうことに懸念を示した。更に、院内クラスター感染が発生しても、精神科病院は自院での対応を余儀なくされるケースが多い事情に触れ、看護師の処遇改善の取り扱いについて、多方面に配慮した仕組みとすることを要望した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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