日医定例記者会見 5月26日・6月2日
宮川政昭常任理事は、5月21日に新型コロナウイルスワクチンとして、「モデルナ筋注」と「バキスゼブリア筋注」の2種が承認されたことを受けて、それぞれのワクチンの特徴や副反応等について説明した。
同常任理事は「モデルナ」について、ファイザー社の「コミナティ筋注」に続くmRNAを用いたワクチンであり、新型コロナウイルス感染症の発症抑制効果は2回目接種14日以降で94%、副反応は1回目接種後よりも2回目接種後の方で頻度が高く、筋肉痛や疲労については「コミナティ」と比較するとやや高い頻度で見られることを概説。しかし、安全性に重大な懸念は認められないことから、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において予防接種法上の接種に用いることが決定され、現在、国主導で設置された集団予防接種会場で使用されているとした。
一方、アストラゼネカ社の「バキスゼブリア筋注」は、アカデミア発のウイルスベクターを応用したワクチンであり、発症抑制効果は70%で、「コミナティ」「モデルナ」とは流行状況の異なる国々で試験が行われた結果ではあるものの、承認に足る有効性が示されたと報告。局所及び全身の副反応に関しては、1回目接種後にやや発現頻度が高く、局所の痛みは「コミナティ」や「モデルナ」よりも少ない傾向が見られると説明した。
また、懸念されている血栓については、「血栓症のリスクを踏まえても、ワクチンの有効性や安全性を考慮し、了承して差し支えないと判断された」との田村憲久厚生労働大臣の発言を引き合いに、「科学的に有効性・安全性が確認された医薬品が承認されることは、当然の行政プロセスである」と強調。「血小板減少を伴う血栓症」に関しては、血小板第4因子とワクチンに含まれるfree-DNA等が複合体を形成し、その複合体に対して形成された抗体が、血小板の活性を惹起(じゃっき)する可能性が考えられており、MRIなどの画像で診断は可能となっているとした。
最後に同常任理事は、ワクチンの確保に向けた政府の尽力に謝意を示すとともに、「わが国が一気に収束への道筋を描けるよう、これまで以上に、集団・個別いずれのワクチン接種も推進することで、安心・安全な国民生活を守っていきたい」と述べた。
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