中川俊男会長は3月24日の定例記者会見で、3月21日をもって首都圏1都3県の緊急事態宣言が全面解除されたことを受け、リバウンドによる第4波を防ぐために、改正特措法の「まん延防止等重点措置」の適用など、先手の対策が重要であることを指摘した。
中川会長は、政府の決断について、「医療提供体制の状況や社会・経済活動の影響などを総合的に勘案して決定されたものであると受け止めている」とした上で、「先週末の1都3県の人出は大きく増加した。緊急事態宣言を継続しても、これ以上の新規感染者数を抑制できないとの見方もあったが、人の動きを見れば宣言が機能していたことは明らかである」との見解を表明。
東京の新規感染者数が、連日、同じ曜日の前週を上回る状況となっていることを例に挙げ、「リバウンドによる第4波を防ぐためにも、感染状況を冷静に見極め、早め早めの強い手を打たなければならない」と強調した。
また、同日(3月24日)、厚生労働省が次の感染拡大に備えて医療提供体制を強化するため、感染者の大幅増(例えば今冬の1日当たり最大感染者数の2倍程度)が起きた場合も含め、都道府県に新たなコロナ病床確保計画を求める事務連絡を発出したことに触れ、「感染者数が短期間で急増した場合、1~2週間で準備病床を即応病床として活用することを求めているが、予定されていた入院や手術を延期するなど、新型コロナ以外の通常医療を大きく制限することにつながるものである」と懸念を示した。
中川会長は、「従来から病床使用率の分母を、準備病床を含む確保病床から即応病床数に変更統一するべきであると申してきたが、それは準備病床を即応病床に転換するのは容易ではないからである」と強調。準備病床とされる新型コロナ以外の患者が使用している病床においては、患者の転院や転棟の手続きが生じる他、新型コロナ医療を担える医療従事者の確保、病棟のゾーニングなど、新型コロナ患者を受け入れる病床にするためには多くの課題があることを指摘した。
更に、緊急事態宣言下において、心血管病診療に携わる医療従事者が新型コロナ医療に振り分けられた結果、急性心筋梗塞や致死性不整脈、大動脈瘤破裂等の救急対応ができなくなっている地域や医療機関が増えていることや、がんの予定手術が延期されるなどの影響が生じているとし、「短期間でコロナ患者が急増した場合には、準備病床から即応病床への転換が間に合わないケースも想定され、第3波を超える第4波が到来すれば、全ての医療において、何らかの制限をしなくてはならない厳しい選択を迫られる。そうならないためにも、強力かつ継続した感染防止対策が必要である」と主張。
その対策としては、知事が市町村、区域単位できめ細かく、繁華街など重点的に感染対策を打てる特措法の「まん延防止等重点措置」について、早い時点での適用を検討するよう政府に要請した。
一方、国民に対しては、各地の人出が軒並み増加していることを踏まえ、「緊急事態宣言の解除は、感染リスクが低下したことを意味しない。歓送迎会のシーズンだが、自粛をお願いしたい」と述べ、改めてマスクの着用や手洗いなどの徹底を求めた。
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