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令和2年(2020年)6月5日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症対応での医業経営状況等アンケート調査結果を公表

日医定例記者会見 5月13・20日

 松本吉郎常任理事は、新型コロナウイルス感染症の拡大が、医療機関の経営に与えた影響について調査した結果として、診療所では3月の入院外総点数が前年同月に比べ約10%減少していることなどを報告した。
 本調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による医業経営への影響を緊急的に把握するため、2020年3月診療分のレセプトを対象にするとともに、地域の会員医療機関で医業経営に支障を来している具体的な事例についてアンケート調査を実施した。
 レセプト調査は都道府県医師会が医療機関を選定する形で行われ、病院125、診療所468の計614施設(不詳21含む)から回答が寄せられた。
 3月末までに「新型コロナ感染症疑い患者受診あり」と回答したのは病院48・8%、診療所18・2%で、また同時期において、「PCR検査が必要と判断した患者あり」は病院48・8%、診療所12・6%となっている。
 「入院外の総件数・総日数・総点数」については、前年同月に比べ、病院では、総件数6・8%減、総日数6・6%減となっている。
 一方、診療所では、総件数10・9%減、総日数10・7%減、総点数9・4%減で、全体で診療報酬収入が1割近く減少していた。
 医療機関ごとでは、88・0%の診療所が対前年比でマイナスであり、総点数30%減以下の診療所は7・5%となっている。
 「初診料、再診料、電話等再診」については、前年同月に比べ、(1)「初診料算定回数」が病院で20・3%減、診療所で29・0%減、(2)「再診料または外来診療料算定回数」が病院で5・5%減、診療所で9・1%減、(3)「電話等再診」が、昨年3月に電話等再診の算定が全くなかった医療機関で本年3月に電話等再診を行ったケースがあることから、全体の算定回数は著しく上昇―となっている。
 「外来受診の動向」については、(1)外来患者全体が「減った(大幅に減った、やや減った)」と回答したのが、病院79・2%、診療所84・6%、(2)電話等再診の患者数が「増えた(大幅に増えた、やや増えた)」と回答したのが、病院55・2%、診療所43・2%、(3)長期処方の患者数が「増えた(大幅に増えた、やや増えた)」と回答したのが、病院52・0%、診療所70・1%―となっている。
 この他、「経営上の課題」に関しては、「子育て中や介護中の医療従事者のみならず、事務職員の確保も困難になってきている」との意見や、医療用資材が不足する中、サージカルマスクが通常の10倍以上の価格になっているとの記載もあり、収入が減る一方でコストが増加している実情が明らかとなっている。
 同常任理事は、本調査で寄せられた「看護職員の夫が、勤め先で他の職員との距離を離して仕事をさせられた」「医師の家族が生活用品など、地元での買い物ができない」「診療を休止していないのにコロナにより休止していると噂(うわさ)を立てられている」などのコメントを紹介し、風評被害によって地域医療が脅かされていることを懸念。
 予防接種や各種健診が減ったことによって、小児科や医師会立の健診検査センターの運営にも大きな影響が出ているとし、更なる悪化が見込まれる4月以降の医業経営状況についても、引き続き調査していく意向を示した。

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