江澤和彦常任理事は2月13日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会で、2019年度介護報酬改定について諮問及び答申が行われたことを受け、日医の見解を述べた。
同分科会においては、消費税率の引き上げに伴う介護報酬の対応と、「新しい経済政策パッケージ」に基づく介護職員の更なる処遇改善について検討を行ってきたが、介護報酬改定に関しては、昨年末の大臣折衝を踏まえ、(1)0・39%のプラス、(2)新しい経済政策パッケージに基づく介護人材の処遇改善で、2019年度については10月からの対応分として国費210億円程度―とされた。
介護人材の処遇改善では、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うと総額2000億円を要することから、公費1000億円と保険料1000億円の計2000億円を財源とした新たな加算の類型が創設される。
具体的には、10年以上の介護福祉士数に応じて、サービス類型ごとに加算率を設定し、事業所内での配分については、「経験・技能のある介護職員」「他の介護職員」「その他の職種」について、一定のルールの下、事業所の裁量で配分される。
同常任理事は、今回の処遇改善加算について、現行の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)までを算定している事業所のみが対象となっていることから、同加算を算定していない事業所では10年以上勤続している介護福祉士には配分がなされない点を問題視。本来、個人を評価すべき処遇改善が、各事業所の職種別の配置人数や有資格者の有無、職員の勤続年数等のデータがないために、事業所を対象とした複雑な加算になっているとして、次期介護報酬改定までに詳細なデータを収集することを要請するとともに、職場の人間関係を良好とする取り組み、出産・育児と両立できる支援など、労務管理面での工夫も必要であるとした。
また、今回の改定では、消費税率10%への引き上げに伴う介護報酬等に係る消費税の取り扱いについて、①基本報酬への上乗せを行い、上乗せ率は各サービスの課税費用の割合を算出して定める②在宅サービスの利用量の上限である区分支給限度額は、介護報酬の上乗せに伴い引き上げる③食費、居住費の基準費用額については、消費税率引き上げによる影響分についてのみ上乗せを行う―こととされている。
これに対し同常任理事は、「食費・居住費の基準費用額は、今回、消費税率を引き上げる影響分の対応のみ行ったが、自己負担化された平成17年10月から金額が変更されておらず、その間、物価や賃金は変動しているので、今後、見直しの議論が必要である」と述べた他、医療機関に従事する介護職員の処遇改善も課題であるとの認識を示した。
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