中央防災会議が7月1日、総理官邸で開催され、松本吉郎会長が被災者健康支援連絡協議会代表として出席した。
当日の会議では(1)防災基本計画の修正、(2)令和7年度総合防災訓練大綱、(3)南海トラフ地震防災対策推進基本計画の変更―等が決定された。
(1)については、先の通常国会で改正された災害対策基本法等の内容や令和6年能登半島地震における教訓を踏まえて防災基本計画を修正し、国による迅速な応援体制の確立、福祉サービスの提供など被災者支援の充実、災害NPOを始めとする多様な主体との連携などの必要な事項が盛り込まれることとなった。
(2)に関しては、政府として被災者が受けるべき支援の国際基準とされているスフィア基準等に沿った避難所の生活環境の向上の他、地方公共団体間の広域応援や受援訓練の実施などに取り組むことが明記された。
また、(3)については、今後30年以内に南海トラフ地震が発生する確率が80%という予測が出されるなど差し迫った状況の中で、地震や津波などによる直接的な被害を少なくし、避難生活の中での健康状態の悪化などを防ぐための対策として、おおむね10年間で完遂すべき重点施策(「想定死者数を約29万8000人からおおむね8割減少させる」「全壊したり焼失したりする建物の数を想定約235万棟からおおむね5割減少させる」等)を具体的に定めるとともに、重点的なモニタリングを行うとしている。
意見交換の中で松本会長は既述の(1)に関連して「超高齢社会の下では『福祉的支援等の充実』を図ることが非常に重要になる」と強調。また、災害医療全般について、日本医師会災害医療チーム(JMAT)には地域に根差し、平時から地域包括ケアや介護・福祉にも関わっている医師や看護職員等が参加していることを例示しながら、「災害時の多様なニーズに対応するためには、福祉などさまざまな職種との連携、更には指揮系統に従った活動が求められる」と指摘した。
最後にあいさつを行った石破茂内閣総理大臣は、世界有数の災害大国であるわが国においては災害対応の強化が急務となっているとし、政府としても令和8年度中の防災庁設置に向けて準備を加速させていることなどを説明。出席者に対して、人命・人権最優先の防災立国の実現に向けた引き続きの支援と協力を求めた。