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平成30年(2018年)1月5日(金) / 日医ニュース

朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや。

 表題はご存じのように「論語」の一節である。毎年この季節になると年賀状をどうするかという問題に突き当たる。数年前から数を減らし無精をしている。
 まだ小生が大学病院の病理の教室に在籍していた頃、中検病理の教授であったS先生からは毎年、万年筆で直筆の年賀状を頂いていたのを思い出した。
 その先生が主催していた勉強会が「わからんかい」で、「若蘭会」と書いた。
 都内の病理の先生方(大学の助教授や都立病院の部長が主なメンバーであった)が月に1回集まり、おのおのが診断に難渋している症例のプレパラートを持ち寄り、皆で検鏡し意見を出し合い、何とか確診に持っていこうとする勉強会である。
 S教授は目が良く、温厚、博識であったので参加する先生から信頼があり、初めはスライド係であった小生がメンバーの端っこに加えて頂いた頃には、都内だけではなく、関東一円ばかりか愛知、大阪の先生まで参加するような盛会となった。ある大学の教授の勧めで、その会で検討された症例のアトラスを発刊しようという話が出たが、S教授が64歳で鬼籍の人となり実現しなかった。
 さて、「論語」に戻るが、浅学非才の小生は最近まで、ずっと「朋有り」は「友有り」と思っていた。「遠くから友人が来てくれて一緒に酒を飲むことは何と楽しいことなのだろう」と解釈していたが、これは間違いで、孔子は、「学問をしてそれを自分のものとして、知識が豊かになれば、道を同じくする友人が遠い所からでもやって来て、学問について話し合うようになる。これはまた何と楽しいことではないか。」と教えていたのだった。
 年末年始は酒ばかり飲んでないで学問をしようかな。

(がんこ親父)

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