東京オリンピック・パラリンピック対策東京都医師会・日本医師会会合が8月4日、日医役員、都医役員、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、厚生労働省、総務省消防庁、東京都庁、東京消防庁を始めとする関係者を集めて、日医会館で開催された。
冒頭あいさつした横倉義武会長は、「東京オリンピック・パラリンピックまで残すところ3年となり、我々もしっかりと準備をしていかなければならないが、外国人患者への医療通訳や救急災害医療対策など課題は山積している。本日の会合を踏まえ、日医として建設的な提案・取り組みを行っていきたい」と述べた。
引き続き、各団体からの報告に移り、初めに宮本哲也東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会医療サービス部長が、組織委員会として提供する予定となっている医療サービスやその提供体制の概要を説明。医療スタッフについては、現在、大学病院等に協力を求めており、日医、都医とも、今後、情報共有していきたいとした。
厚労省は、「医療機関における外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制等の実態調査」(昨年10月20日~12月12日実施)の結果として、①外国人患者を受け入れている医療機関においても、半数以上が20名以下の受け入れとなっている②医療通訳を利用している医療機関は依然として少ない―ことなどを紹介。
都医は、本年2月に「平成28年度医療機関における外国人患者対応支援研修」を実施した他、今年度より委員会を設置し、訪日外国人への対応について検討を開始したこと等を報告。また、東京都庁からは、暑さ対策に係る主な取り組みや外国人患者対応支援研修の実施を始めとする外国人患者への医療提供・医療情報提供体制の整備について説明があった。
松本吉郎常任理事は、都医と共に熱中症等対策に関する要望を関係官庁等に行ったことを報告。また、化学・生物・放射性物質・核及び爆発物(CBRNE)による災害に関する研修の実施や医療通訳サービスを提供している関係者や外国人患者受け入れ時の医療費負担に関しては重要な課題であることから、今後の会合においても有識者や関係者を招いて協議していくなどの方針を示した。
その後の意見交換では、都医から、「競技場等で観客の体調不良などが大規模に起きた場合、市中にどれくらいの影響があるのか」「どの競技で、どのような会場で起こる可能性が高いのか」などの想定を早期に示して欲しいとの要望があった他、「訪日外国人が宿泊施設で具合が悪くなった場合の対応」「観戦に来た身体的な弱者への対応」「医療通訳の質をどう担保するか」などについても考えておく必要があるとの意見が出された。