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平成29年(2017年)6月20日(火) / 日医ニュース

11項目の要望の実現に対する理解と協力を求める

11項目の要望の実現に対する理解と協力を求める

11項目の要望の実現に対する理解と協力を求める

 「平成30年度政府概算要求に対する日本医師会要望の説明会」が5月30日、厚生労働省内の会議室で開催され、横倉義武会長始め、多くの常勤役員が出席した。
 今回の要望書(全文は日医のホームページ参照)は、時代に即した「改革」を進めながら、過不足ない適切な医療が提供できるようにすることを目指して、取りまとめたものである。
 要望書は、(1)地域包括ケアシステムへの予算確保、(2)健康寿命延伸への予算確保、(3)医療分野におけるICT活用への予算確保、(4)感染症予防への予算確保、(5)救急医療の充実への予算確保、(6)災害対策への予算確保、(7)医療安全への予算確保、(8)医学・学術への予算確保、(9)医療保険・介護保険への予算確保、(10)控除対象外消費税の対応への予算確保、(11)たばこ対策の予算確保―の11項目で構成。具体的な事項と要望額を示し、その実現を強く要求したものとなっており、「医療法人に係る雇用関係助成金等の支給要件の見直し」「健康経営の普及、推進のための支援」「医療用漢方製剤の安定供給への支援」などが、新規の項目として盛り込まれている。
 今回の説明会は、それらの要望項目について、厚労省の担当者に直接説明し、理解を深めてもらうために開催したものである。
 説明会は今村定臣常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした横倉会長は、「平成30年度には、診療報酬と介護報酬の同時改定が行われるだけでなく、第7次医療計画と第7期介護保険事業(支援)計画も開始される。それに合わせて、今回の要望には、これまでにない形のものをたくさん盛り込ませてもらった。要望の趣旨をご理解頂き、その実現に協力して欲しい」と述べた。
 また、現在、日医が受動喫煙防止対策を強化・実現することを目指して、署名活動を実施中であることを説明。「多くの署名を集め、提出するので、政府もぜひ、国民の思いを受け止め、対応して欲しい」とした。
 引き続き、今村常任理事が資料を基に、前述の11項目の具体的な要望事項を説明した。
 その後の意見交換では、中川俊男副会長が、今後、社会保障費の自然増を推計するに当たって、①医薬品の効果によって肝不全の患者が減ってきている②高額医薬品の大幅な引き下げが行われた―ことを考慮に入れるべきと指摘した。
 今村聡副会長は、「標準化されていない健診データを集めても意味がない」として、日本医学健康管理評価協議会が作成した「健診標準フォーマット」の活用の他、産業医とかかりつけ医の情報共有に関する支援を要請した。
 松原謙二副会長は、卒前教育、共用試験、医師国家試験、臨床研修、専門医研修、更には生涯にわたる教育が一貫して提供される必要性を強調。
 更に、社会保障審議会医療保険部会等で、いわゆる参照価格制度や受診時定額負担の問題が、日医が反対しているにもかかわらず、度々議論の俎上(そじょう)に乗ることに疑義を呈した。
 今村常任理事は、当初の出資額が5000万円以下の要件を満たす医療法人も医療法人に係る雇用関係助成金等の支給対象とすることを要望した。
 また、石川広己常任理事は、医療等IDや保健医療福祉分野公開鍵基盤(HPKI)などの基盤整備に対する協力を求めるとともに、日医では地域包括ケアの中で、「かかりつけ医」が中心となって防災も担っていくことを考えていることを説明し、理解と支援を要請した。
 その他、羽鳥裕常任理事は、新たな専門医の仕組みが来年4月から始まるに当たって、都道府県協議会の役割の重要性に言及。「都道府県にはまだ協議会が設置されていないところもあり、国がその果たすべき役割をしっかり示して、予算確保に努めて欲しい」とした。
 更に、松本吉郎常任理事は、震災の際の高齢者の避難の困難さを説明し、超高齢社会における救急医療の充実を求めた。
 これらの要望に対して、厚労省事務局は一定の理解を示し、必要な財源の確保に努めていきたいとした。
 最後にあいさつした神田裕二厚労省医政局長は、要望の説明に対する謝意を示した上で、「医師偏在や働き方改革の議論、地域医療構想取りまとめ後の地域での話し合いが円滑に進むためにも、医師会のリーダーシップは欠かせないものであり、今後も協力をお願いしたい」と述べた。
 また、今後の厚労省予算の作成に当たっては、「社会保障費の伸びに枠がはめられている中で、診療報酬と介護報酬の同時改定に必要な財源をいかに確保していけるかが大きな課題になる」とするとともに、「本日頂いた幅広い要望に応えられるよう、関係部局でも検討していくので、引き続き日医のバックアップをお願いしたい」とした。
 なお、日医では、今回の要望書を基に、政府与党、関係省庁に対しても、その実現を強く求めていく予定としている。

平成30年度政府概算要求に対する日本医師会要望(11項目)

(1)地域包括ケアシステムへの予算確保
(2)健康寿命延伸への予算確保
(3)医療分野におけるICT活用への予算確保
(4)感染症予防への予算確保
(5)救急医療の充実への予算確保
(6)災害対策への予算確保
(7)医療安全への予算確保
(8)医学・学術への予算確保
(9)医療保険・介護保険への予算確保
(10)控除対象外消費税の対応への予算確保
(11)たばこ対策への予算確保

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