ここ数年、南海トラフ巨大地震が怖くて、車中泊仕様のハイエースに避難グッズを常備したり、ベッドの脇に靴を置いて寝たりしている。
1年程前に、2025年7月5日未明に大災難が起こるといううわさがネット上で話題になっているのを知った。大災難の詳細は不明だが、日本とフィリピンの間で巨大な津波が発生するとの話があるようだ。その日は土曜日なので、クリニックは休診にして金曜日の診療終了後に標高の高い所へ避難しようと思った。何も起こらなければゆっくり温泉にでも浸かって帰ってくればいい。まぁ半分は土曜日休診にして旅行に行くための口実みたいなものである。
さて、どこに泊まろうか。クリニックの理事長である父に、7月5日は休診にしたい旨を伝えたが、答えはNO。仕方がない、何も起こらないことを願おう。しかしXデーが近付くにつれ、トカラ列島の地震が頻発し始めた。日本とフィリピンの間と言えなくもない。やはり何かが起こるのか。よし、金曜日は都城辺りで車中泊をして、夜が明けて何もなければ戻ってきて土曜の診療に当たるとするか。
いよいよ金曜日、22時に長女を塾に迎えに行き、早く風呂に入れと急かす。家を出られるのは23時か、それまで2歳の長男が起きていられるかな。
家を出る準備が整った頃、リビングから鈍い音が聞こえ、直後に娘達と妻の叫び声が響いた。見ると、長男がおでこから血を流してギャン泣きしている。暴れてそこら中に血が飛び散っている。眠いのに寝かせてもらえず、ふらついて転倒し框(かまち)で眉上をぶつけたようだ。大学病院に連れていき、15針縫合したのは7月5日の未明であった。
わが家にとってはまさに大災難であった。



