「じいちゃん、来たよー」
車で10分くらいの所に住む2歳の孫が、自分の到着をアピールしながらやってくる。私は朝食を済ませてコーヒーを飲んでいる。今日は娘夫婦が2人とも仕事のため、おばあちゃん(私の配偶者)がベビーシッターを頼まれて朝から孫を迎えに行っていたのである。
おばあちゃんは孫の世話を一生懸命するが、日曜日は妻より私の方が暇そうに見えてしまう。おばあちゃんは何かと用事があるため、テーブルとスマホの前でぼうっとしているように見えるらしい私が「ちょっと見てて下さいな」と言われて孫を見守る役割を与えられてしまう。
孫はエネルギッシュである。シール絵本にシールを貼った後、お絵描きをしたかと思えば、じいちゃんを相手にお店屋さんごっこを始める。それも2~3回繰り返した後は、「公園に行こ」「お買い物行こ」と外出を求める。公園に行くと、孫はジャングルジムや滑り台を堪能する。
帰宅後、飲み物を飲んで、早めに昼食を取る。その後は、車に乗って買い物に出掛ける。車の振動が心地良いのか、店に着くまでに眠ってしまうこともあるが、最近は、孫は買い物を済ませるまでは眠らないぞと全力で眠気と闘って起きている。
スーパーに着くと、じいちゃんの方を振り向きながら、菓子売り場に向かう。今どきのスーパーの菓子売り場には子ども用の買い物かごが置いてあって、子どもが自分でチョイスした菓子をかごに入れられるようになっている。じいちゃんの顔をチラチラとうかがいながら、孫は自分の好きな菓子をかごに入れていく。10個くらい放り込んだところで、「もういいだろう。お金を払わないといけないから、ばあちゃんのところに行くよ」と声を掛けると、大事そうに戦利品を携えて、私と一緒にばあちゃんのいる食料品売り場に向かう。ばあちゃんは、かごを見て、少しあきれたような顔をした後、孫を連れてレジに向かう。
満足したのか、予想どおり孫は家に帰る途中の車の中で眠ってしまった。チャイルドシートのロックを外して家の中に入れようとするといつも起きてしまって機嫌が悪くなるので、目覚めるまで私が車の中に残って見守りをすることになった。私は孫の寝顔を覗(のぞ)きこんだ後、「今日はアマゾンから届いた膠原病の本を読む予定だったんだけどな」と心の中で呟きながら、うとうとし始めていた。



