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平成28年(2016年)7月5日(火) / 日医ニュース

平成28年7月より産業医・学校医等の医師活動賠償責任補償を拡充

 日医では、本年7月より、産業医や学校医等の活動に伴う日医医師賠償責任保険の補償を拡充することになりました(別記事参照)。
 今号では、会員の先生方からお問い合わせの多い、補償拡充の背景や、どのような事故が今回の拡充の対象となるのか等について、改めて説明します。

産業医・学校医等の医師活動賠償責任補償の内容

1.補償の概要
産業医・学校医等の活動(職務)に起因して発生した不測の事故について、会員が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して、補償(保険金の支払い)を行う(弁護士費用等の争訟費用を含む)。
2.対象者
日医A会員(A1、A②B、A②C会員)
3.対象となる活動(職務)
法令によって定められた以下の職務。( )内は根拠法令。
①産業医(労働安全衛生法)
②健康管理医(人事院規則)
③学校医(学校保健安全法)
④保育所等の嘱託医(児童福祉法)
4.補償の限度額
1事故1億円、保険期間中3億円(免責なし)
5.開始時期
平成28年7月1日

Q1.補償拡充の背景、目的は何ですか

 平成26年に改正された労働安全衛生法に基づく新たな健康管理制度としてストレスチェック制度が導入され、面接指導等で産業医の役割が、また、子どもの健康管理においても学校医の役割が今まで以上に重要になってきました。日医医賠責保険制度の補償拡充を図ることにより、日医の会員が安心して産業医・学校医等の活動を行い、また、その職責を尽くすことにより、労働者の健康増進、学校保健に寄与することを目的としています。

Q2.どのような事故が対象となりますか

 産業医や学校医の職務の内容から、身体の障害を伴わない休業損害といった、いわゆる経済損失に対する損害賠償を求められることが想定されるため、身体障害だけでなく、財物損壊・経済損失等を含めた不測の事故について損害賠償を請求された場合の補償も対象としています(※保険金の支払いの対象とならない事故があります)。
 例えば、産業医活動ではストレスチェックの判定や面接指導が不適切であったため対処が遅れてうつ病が発症・増悪した、また、学校医活動として健康相談や保健指導が不適切であったことに起因して疾病発症・増悪したとして訴えられる場合など、医療行為以外の活動が想定されます。
 なお、損害賠償責任の有無にかかわらず、弁護士対応が必要な場合は争訟費用がこの保険で支払われます。

Q3.日医医賠責保険との関係はどのようになっていますか

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 のように、産業医・学校医等の活動において、医療行為によって生じた身体障害については、これまでどおり日医医賠責保険の対象となり、医療行為以外の不測の事故によって生じた損害が「産業医・学校医等の医師活動賠償責任補償」の対象となります。

Q4.補償の対象となる会員は誰ですか

 この保険は、日医A会員(A①、A②B、A②C)個人の活動によりA会員個人が損害賠償請求を受けた場合を対象としています。日医A会員であれば日医医賠責保険が付保されているため、産業医・学校医等の医師活動においては、医療行為の有無にかかわらず補償が可能となります。
 なお、産業医や学校医に就任した、辞退したといった報告は不要です。

Q5.いつから対象となりますか

 平成28年7月1日以降に損害賠償請求を受けた場合が対象となります。
 なお、産業医や学校医を辞退した後に損害賠償請求を受けた場合でも、請求を受けた時期に日医A会員であれば保険の対象となります。

Q6.損害賠償請求を受けた場合はどのようにすれば良いですか

 万一、損害賠償請求を受けた場合には、日医医賠責保険と同様に各都道府県医師会の定める紛争処理規定に従って報告をして下さい。
 なお、産業医や学校医の活動は、事業主の労働安全衛生や学校保健の一環としての活動であり、責任主体は事業主や学校にあるため、まずは事業主や学校が窓口となって対応することが原則となります。医師の法律上の損害賠償責任が発生するケースは少ないと考えられますが、まずは都道府県医師会にご相談下さい。

※「産業医・学校医等の医師活動賠償責任保険 解説」を日医ホームページのメンバーズルーム内に掲載しています。詳しくはそちらをご覧下さい。

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