2023年4月3日
医師主導治験スタディマネジャーのためのオペレーション支援ツール
平成14年の薬事法改正以降、医師主導治験の研究成果が承認申請に用いることができるようになり、薬事承認による臨床応用の実績も増えてきた。医師主導治験が臨床開発戦略のひとつとして認知されつつあり、実施件数の増加とともに、医師主導治験に関与する臨床研究専門職も多くなってきている。なかでも、スタディマネジャー(※)の役割が注目されてきた。
(※)スタディマネジャー(StM)の定義
医師主導治験において、治験調整医師及び自ら治験を実施する者が行う業務に協力するとともに 、治験を円滑に推進するために、計画的かつ効率的に運営管理する者
しかし、スタディマネジャーが医師主導治験の企画立案から治験総括報告書の固定に至るまでの一連のプロセスを経験するためには、数年を要することに加え、対象疾患の希少性や、評価対象の治験物の多様性により、経験を一般化しにくいことが課題である。
そこで、過去に得られたノウハウを集約し、経験を共有化・資産化することを目的として、スタディマネジャーが医師主導治験のオペレーション業務を実施する際に役立つ、オペレーション支援ツールを開発した。本ツールが、多くのスタディマネジャーの業務の一助となるとともに、治験調整事務局業務の標準化につながることを期待している。
ツール利用にあたっての留意事項
- 本ツールは治験薬を用いた医師主導治験を前提に作成しています。治験機器や再生医療等製品などを評価対象とする医師主導治験の場合には、適切に修正した上で使用してください。
- 医師主導治験の試験デザインや実施体制に合わせて、適宜修正の上ご活用ください。
- 本サイトでは医師主導治験用のツールとして公開いたしますが、医師主導治験に限らず、臨床研究にもご活用ください。
- 令和2年3月時点でのGCP及びその他関連文書等に基づいて、ツールを作成しました。利用にあたっては、最新のGCPその他関連通知等を参考に必要に応じて修正してください。
- 本ツールの利用によって発生する利用者側のトラブルや損害賠償問題等については、日本医師会では何ら責任を負いません。
StMツールマップ
- 各ツールの効果的な作成・更新期間の目安を示しました。
- バーの濃色(紺色)は初版の作成期間、淡色(水色)は更新が必要な期間の目安です。淡色のみの表示は、期間中、随時更新が必要と考えられるツールです。
- 左端のNo.は、公開時(2020年7月)の管理番号を示しています。
ツールの概要(公開:2020年7月/最終更新:2021年8月)
- ツールの概要を示しました。
- 内容のプレビューには「閲覧用PDF」を、実際に使用される場合には「編集用ファイル」をご利用ください。
- 左端のNo.は、公開時(2020年7月)の管理番号を示しています。
試験計画を見える化するツール
No | ツール名 | ツール概要 | ダウンロードファイル |
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a1 | ヒアリングシート | 研究者から医師主導治験の相談を受けた際に、研究計画や状況を把握するために使用するツールです。研究者が記載し提出する、もしくは研究者へのヒアリングを実施し記載する、いずれでも使用可能です。 | |
a2 | プロジェクトチャーター | 医師主導治験の立ち上げ時に、当該治験にとって重要なこと(目的、目標、成功基準等)について合意形成を行う際に役立つツールです。さらに、合意した重要事項を明文化しチーム内外で共有するために使用します。 | |
a3 | ロードマップ | 薬事承認までのロードマップを見える化し、共有するためのツールです。パワーポイント版とエクセル版があるため、使用目的に応じて使用してください。 | |
a4 | |||
a5 | スケジュール | 中長期的なスケジュールを見える化し、共有するためのツールです。パワーポイント版とエクセル版があるため、使用目的に応じて使用してください。 | |
a6 | |||
a7 | 組織・体制図 | 実施体制を視覚的に提示するためのツールです。必要な役割を特定し、その役割を担当する組織名を入力します。 |
試験全体の管理ツール
No | ツール名 | ツール概要 | ダウンロードファイル |
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c1 | 治験経過表 | 医師主導治験の経過や過程をまとめておくためのツールです。業務の引き継ぎや規制当局による適合性書面調査・GCP実地調査前の準備・提出資料としても活用できます。 | |
c2 | 課題管理表 | 対応が必要な事項、他部署や委託先などに依頼中の案件など未完了項目とその進捗を見える化し、定期的に共有・見直し・リマインドするためのツールです。 | |
c3 | 研究費管理シート | 治験経費の管理ツールです。見積シート、研究費管理シート、および累計推移グラフシートから構成されています。 セルには計算式が設定されていますので、行や列の追加・削除等の際は、必ず設定に問題がないかを確認してください。計算式等ファイルの不具合に伴う金銭的な責任は負いかねます。 |
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d2 | 資料詳細目録<例示> (2021年8月更新) |
医師主導治験で必要となる文書一覧と保管先をまとめたツールです。 | |
d6 | ナレッジ登録簿 | 医師主導治験で得られた経験・知識を今後の治験にも活かせるよう、検索・利用できる形にまとめるためのツールです。 |
業務と役割を明確化するツール
No | ツール名 | ツール概要 | ダウンロードファイル |
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b1 | 医師主導治験業務一覧 | 治験の立ち上げ時に関連業務を洗い出すと共に、外部委託する業務を特定し実施主体を決定するツールです。委託先との検討・協議や、見積り依頼の際に使用することも可能です。 | |
b2 | 治験調整事務局業務To Do リスト | スタディマネジャーが実施するタスクを、治験準備、治験実施、治験終了後に分類して、リスト化したツールです。 | |
b3 | 治験関係者リスト | 医師主導治験チームのメンバー、実施医療機関、委託先等の関係者の連絡先を管理するためのツールです。 | |
b4 | コミュニケーション計画書 | 医師主導治験チーム内外の会議およびメールによるコミュニケーション方法、文書管理と共有方法を決めておくためのツールです。プロジェクトチーム内の円滑なコミュニケーションのための計画を立てます。 | |
b5 | 治験関連文書作成担当者一覧 | 治験実施計画書や各種手順書などの治験関連文書を作成する際、作成者、レビュー者、承認者を特定するために活用するツールです。事前にこれらの担当者を決めておくことが効率的な文書作成(改訂)につながります。 |
実施医療機関との情報共有・管理ツール
No | ツール名 | ツール概要 | ダウンロードファイル |
---|---|---|---|
d1 | 治験開始に向けた実施医療機関への案内文書 <例示> | 実施医療機関が決まった際、スタディマネジャーから各医療機関に対して一般的に通知・依頼すべきと思われる事項を記載したツールです。 | |
c4 | 医療機関別準備状況一覧 | 実施医療機関選定完了後~医療機関の症例登録開始までの実施医療機関の情報と準備状況を管理するためのツールです。 | |
c5 | IRB資料配信管理一覧 | スタディマネジャーが各実施医療機関に配信したIRB資料を管理するためのツールです。 |
安全性情報の取扱い関連ツール
No | ツール名 | ツール概要 | ダウンロードファイル |
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b6 | 安全性情報の授受に関する合意事項一覧 | 安全性情報の授受について、治験薬提供者と治験調整事務局間で、事前に協議し、合意事項をまとめるツールです。 -治験薬提供者へ提供する当該治験で発生した安全性情報 -治験薬提供者から提供される安全性情報 |
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d3 | 安全性情報取り扱いフローチャート<例示> | 安全性情報の取り扱いに関する3つのフローチャート(情報別)です。 ①当該治験で認められた重篤な有害事象 ②治験薬提供者から入手した安全性情報 ③安全性に関する年次報告 |
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d4 | 安全性情報等に関する意見書 <例示> | 安全性情報取扱いフローチャートで示している「意見書」です。安全性情報に関する治験調整医師及び治験責任医師の意見を記録するツールです。 -当該治験で認められた安全性情報に関する意見書 -その他の安全性情報に関する意見書 |
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c8 | 安全性情報管理一覧<参考> 報告書様式一覧 |
発生した安全性情報を一覧で管理するためのツールです。 |
症例管理ツール
No | ツール名 | ツール概要 | ダウンロードファイル |
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c6 | 症例進捗管理一覧 | 登録症例の進捗状況を確認、管理するためのツールです。治験のデザインにより変更が必要になります。 | |
c7 | 逸脱管理一覧 | 発生した逸脱の管理及び治験総括報告書の付録(表16.2.2 治験実施計画書から逸脱した症例)に活用するためのツールです。 |
総括報告書付録の作成準備ツール
No | ツール名 | ツール概要 | ダウンロードファイル |
---|---|---|---|
d5 | 治験総括報告書付録作成に必要な資料一覧<例示> | 治験総括報告書の付録作成に必要な資料を一覧にまとめたツールです。 書式見本として、次の表を例示しています。 -表16.1.3 治験審査委員会の一覧 -表16.1.4 治験責任医師および他の重要な治験参加者の一覧 -表16.1.6 複数ロットが用いられた場合には、治験に用いられたロットごとの薬剤を投与された患者一覧表 -表16.2.2 治験実施計画から逸脱した症例 |
その他の参考ツール
ツール名 | ツール概要 | ダウンロードファイル |
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フローチャート* | 医師主導治験のそれぞれの段階で発生する一連の業務とその役割を担う者を示したフローチャートです。 一例としてご参照ください。 |
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教育コンテンツ* (最終更新:2021年11月) |
医師主導治験を実施する際に実施医療機関が理解しておくべき点と、企業主導治験との相違点を中心にまとめた、医師主導治験の説明用資料(テンプレート)です。キックオフミーティングの参考資料などとしてご活用ください。 対象: はじめて医師主導治験に関わるすべてのスタッフ |
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ガントチャート* (週単位) |
スケジュール(計画・進捗)を管理するためのテンプレートです。日付を入力すると自動でガントチャートを生成します。 ご利用にはMicrosoft Excel 2016以降が必要です。 |
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ガントチャート* (日単位) |
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ガントチャートマニュアル | 上記ガントチャートの機能や操作方法を示したマニュアルです。 | |
ガントチャート見本* (治験調整事務局) |
上記ガントチャートを利用して作成した見本です。一例としてご参照ください。 | |
ガントチャート見本* (実施医療機関) |
*:厚生労働科学研究<医療技術実用化総合研究事業(治験推進研究)>研究事業(区分D)「医師主導治験の円滑化・効率化に関する研究」班(平成22~23年度)において作成した一部ツールを、2021年にStMツールWGで更新しました。
日本医師会 StMツール WGメンバー 2019~2021
笠井 宏委 | 東北大学病院 臨床研究推進センター |
伊豆津 美和 | 株式会社CTD |
風見 葉子 | ノーベルファーマ株式会社 研究開発本部 |
菊地 佳代子 | 藤田医科大学 橋渡し研究統括本部 橋渡し研究シーズ探索センター |
大塚 佑基 | 東北大学病院 臨床研究推進センター |
福谷 美紀 | 広島大学病院 広島臨床研究開発支援センター |
髙橋 久美子 | 株式会社CTD |
松嶋 由紀子 | 慶應義塾大学病院 臨床研究推進センター(2019) |
山口 ひとみ | 山口大学医学部附属病院 臨床研究センター(2019) |
吉岡 まみ | 東京都健康長寿医療センター健康長寿イノベーションセンター(2019) |
内山 麻希子 | ヤンセンファーマ株式会社メディカルアフェアーズ本部(2019) |