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令和8年(2026年)2月5日(木) / 各地の医師会から / 日医ニュース

神奈川県医師会  広報・ブランディングプロジェクトの歩み―組織強化と社会的プレゼンス向上を目指して―

都道府県医師会だより

神奈川県医師会  広報・ブランディングプロジェクトの歩み―組織強化と社会的プレゼンス向上を目指して―

神奈川県医師会  広報・ブランディングプロジェクトの歩み―組織強化と社会的プレゼンス向上を目指して―

 このたび、日本医師会「素敵な広報大賞」を頂き、ありがとうございます。今年度から始まった日本医師会「素敵な広報」事業は各都道府県医師会や郡市区等医師会における広報活動を募り、好事例の横展開によって広報の質向上を目指す取り組みです。
 記念すべき第1回目の受賞となり、昨年10月30日に黒瀨巌常任理事から直々に賞状と目録を手交頂きました(写真)
 大変光栄なことでございますが、それまでの神奈川県医師会広報の道のりは、とても厳しく、悩み苦しんだものでした。
 神奈川県医師会では、医師会の認知が進んでいないことや情報発信の多様化が進んできていることから、令和5年度より「広報・ブランディングプロジェクトチーム(以下、PT)」を立ち上げ、医師会の組織力強化と広報体制の再構築に取り組んでいます。
 社会構造の変化や情報発信の多様化が進む中で、県民に対する医師会の存在意義をより的確に伝え、信頼を深めることが急務であるとの認識が、この取り組みの出発点となりました。

取り組みのきっかけ

260205l2.jpg これまで当会においても、会員向けの広報媒体を始めとした取り組みや、行政(神奈川県)と連携し、共同会見の実施など県民への緊急メッセージの発信を行い、地域医療の確保に向けて、最大限の取り組みをしてきました。
 それは、ダイヤモンド・プリンセス号船内における新型コロナウイルス感染症の集団感染の水際対応や、その後のコロナ禍における「神奈川モデル」の確立など、県内にとどまらず、当時の日本全体の医療提供体制等のモデル・指針ともなりました。
 そうした経過の後に参加した、令和5年度都道府県医師会広報担当理事連絡協議会(令和5年4月13日開催、別記事参照)で紹介された大阪府・広島県両医師会の広報活動を知り、当会の活動との差を感じ、同時に焦りを覚えることになりました。
 両医師会では、広報を情報発信にとどめず、広報活動を「意見交換の場」と捉えたり、官・学・民一体の広報体制を目指す戦略的な活動に取り組んでいたりすることなど、当会には無い、とても先進的なものでした。
 コロナ禍を経て医療提供体制への関心が高まる一方、医師会の役割や活動内容が十分に理解されていないという課題があり、県民に対する医師会の存在意義をより的確に伝え、信頼を深めることが急務であるとの認識をもちました。

これまでの経緯

 そうしたことを踏まえ、当会では、「広報・ブランディングプロジェクト」を進めるためのPTを立ち上げるに至りました。
 まず、「医師会として何を伝えるのか」「どのような価値を社会に提供するのか」という根本的な問いに立ち返り、議論を重ね、その成果として、令和6年3月には全体の考え方を統一する「マスターコンセプト」(下掲参照)を策定し、医師会の理念と社会的責任を分かりやすく表現する新たな基盤が整いました。
 このコンセプトを基に、広報・ブランディングPTでは、県民向けに公開講座を中心に多様な広報活動を展開しました。
 電車広告の掲出、新聞とのタイアップ取材、町内会や県行政機関でのフライヤー配布など、従来にない幅広い媒体を活用したり、子どもと保護者を主なターゲットとした夏休みの自由研究にもつながる健康教育イベント(認知症VR体験)を実施したりしました。
 参加者数は必ずしも多くありませんでしたが、子ども達が医療体験を通して医師の仕事に興味をもち、聴診器を手に笑顔を見せる姿が印象的でした。
 この経験は、「次世代への働き掛け」という医師会の新たな方向性を示すものであり、今後の広報方針を決定付ける契機となりました。
 また、若手医師や医学生に向けては、役員が出演する短編動画を制作し、SNS等を活用した情報発信により、「親しみやすく、身近に感じる医師会」としての印象向上にもつながりました。
 こうした活動の積み重ねが評価され、昨年3月には「マスターコンセプト」の商標登録が実現し、他団体やメディアからも「神奈川県医師会の広報が変わった」との声が寄せられるようになりました。

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今後の展望

 これまでの苦しみもがいた、当会の取り組み過程を赤裸々に紹介したことを理由に評価され、記念すべき第1回目の受賞となりましたが、まだゴールに到達したわけではありません。
 また、本プロジェクトは、組織強化との連動を重視して進められ、会員数を増やし政策的プレゼンスを高める「組織率向上」や、会員同士の連携を深め地域医療に貢献する「組織力強化」の両面とも、今後の広報活動と深く関わり、会員の誇りと帰属意識を高めつつ、県民との信頼関係を築いていく必要があります。
 まじめな公益団体が広報に挑むのは容易ではありません。しかし、医師会が社会と向き合い、柔軟に工夫を重ねていく姿勢こそが、次代の信頼を築く力となることを信じています。
 これからも神奈川県医師会は、医療の専門性と公益性を両立させながら、県民に寄り添う広報活動を続けていきたいと考えています。

①人を集めることは難しい
ならば
人が既に集まるところで活動しよう
②人の興味を引くことは難しい
ならば
既に流行っているものにあやかろう
③まじめな団体が広報するのは難しい
ならば
小さな悪をちりばめてみよう
そしてプロ(マスコミ)の力を使おう

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