学生広報委員
学生広報委員
宮崎県医師会広報委員会では、平成20年より宮崎大学医学部の学生が委員として参画しています。今や学生委員は広報委員会に欠かせない存在として活躍しており、学生委員、医師委員、そして県医師会の三者それぞれにとって、多岐にわたる好影響が現れているため、ご紹介させて頂きます。
現在、宮崎県医師会広報委員は、勤務医4名、開業医4名、医学生4名の計12名で構成されています。医学生は宮崎大学医学部医学科の4年生2名(男女)と5年生2名(男女)です。最近は、各学年1名は地域枠学生に入ってもらっています。また、担当役員として理事4名も委員会に参加しています。
広報委員会の主な業務は、毎月発行する県医師会誌『日州医事』の編集・校正です。委員には、編集作業を通じて医師会活動を知り、地域医療の現状や医療政策にも関心を持ってもらいたいとの考えから、勤務医枠では医師会員ではない方や若手医師にも委員に就任して頂いています。
以前は、医師会と医学生が直接的な接点を持つ機会はあまりありませんでした。しかし、新臨床研修制度の開始や大学入試の地域枠推薦など、いくつかの大きな変革期を迎え、医師不足が深刻な問題となっていた時期に、医学生にも医師会の活動を知ってもらうことや医学生から直接意見を聞くことの重要性を感じ、宮崎大学医学部の学生に広報委員参加の声を掛けたのが始まりです。
当初は学年を問わず、1年生から6年生までの医学生に就任してもらった時期もありましたが、試行錯誤の結果、現在ではある程度臨床知識を持ち、国家試験勉強にも支障が出にくい時期である4年生2名、5年生2名の2年任期という体制で落ち着きました。年度末には学生委員が次の学年の学生に委員会の仕事内容を説明し、候補者を推薦してくれるため、学生枠委員の人選に困ることはありません。
医学生の委員参加に伴い、会誌に学生が企画から執筆までを行う『宮大医学部学生のページ』を創設しました。ここでは、大学祭、部活動紹介、国試対策委員会の活動、地域医療実習や研究室配属の報告など、現在の大学生活を掲載しています。
読者である医師会員が昔を懐かしむことのできるテーマから、年配の先生方にはなじみの薄いOSCEやCBTといった共用試験についての解説まで、毎号豊富な話題を提供してくれています。
広報委員会では、会誌の編集の他、毎年、報道記者や弁護士など他分野の方々との勉強会『宮崎の医療を考える会』を開催しています。
数年前に医学部地域枠をテーマに開催した際には、地域枠で入学した学生広報委員から、高校生が制度の理解が十分でないまま受験することによる問題や、入学後に抱いた将来への不安など、当事者の立場からの発言がありました。これに関心を持った記者から後日改めて取材を受け、新たな視点での新聞記事掲載につながりました。
今年度の勉強会では、日本医師会の黒瀨巌常任理事に宮崎にお越し頂きました。日本医師会の活動紹介や診療報酬改定関連の講演後、開業医・勤務医・医学生・役員に分かれたテーブルをそれぞれ約30分ずつ回り、膝を突き合わせた活発な意見交換を行うことができました。広報委員一同、医療政策の重要性について再認識できる良い機会となりました。
医学生の委員会参加から18年目となり、以前広報委員だった学生が地域医療の現場で活躍している様子を見聞きしたり、医師会活動の中で再会したりする機会も増えてきました。
広報委員は学生にも参加してもらいやすい委員会です。ぜひ、他県でも医学生の参加を検討されてはいかがでしょうか。
最後に、現学生広報委員の感想を紹介します。
(医学科5年・女性)
委員会にて現役の先生方のお話を伺ったり、毎月『日州医事』に目を通したりすることで、日本や宮崎の医療について理解を深めることができ、とても勉強になっています。貴重な経験をさせて頂いており、ありがたく感じています。
(医学科5年・男性)
普段は医師の先生方と気楽に話せる場というのはほとんどありません。委員会では先生方と普段の生活について話す機会があったり、医師の仕事の大変さを直に聞けたりと、校正以外でも先生方とつながれるのが良いところです。
また、『日州医事』全てに目を通すので県内の医療状況についても詳しくなりました。
(医学科4年・男性)
学生のうちに、現場で診療に従事されている医師の先生方と直接お話しできる機会はこの活動以外に無く、本当に貴重な経験をさせて頂いていると感じています。医師の先生方が日頃どのようなことを考えているのかを知ることで、政治などへの関心も広がりました。
今後も自分の見識を広げ、更にその学びを周囲に共有していきたいです。
(医学科4年・女性)
大学に通っていて先生方から耳にするのは大学病院の症例の話や講義内の医学知識に関するお話が多いので、開業されている先生の病院経営に関するお話や、政治情勢から医師会が受ける影響についてなどのお話が新鮮です。
今まで考えたこともなかったような話題について関心を持つきっかけになり、とても勉強になっています。