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令和8年(2026年)1月5日(月) / 日医ニュース

新基準の制度化に向けた普及・促進の方向性について意見交換

新基準の制度化に向けた普及・促進の方向性について意見交換

新基準の制度化に向けた普及・促進の方向性について意見交換

 令和7年度都道府県医師会自賠責保険担当理事連絡協議会が、自賠責保険診療費算定基準(以下、新基準)のアンケート調査結果を報告し、今後の対応方針の共有を図るとともに、制度化に向けた普及・促進の方向性について意見交換を行うことを目的として、昨年11月28日にWEB会議で開催された。
 連絡協議会は細川秀一常任理事の司会で開会。
 冒頭あいさつした松本吉郎会長(代読:茂松茂人副会長)は新基準について、昭和59年の国の自動車損害賠償責任保険審議会の答申で「全国的に浸透し、定着した段階で制度化を図る」との方針が示された一方、平成27年に47都道府県で採用されて以降も、各地域の採用状況にばらつきや停滞が見られると指摘。前回の三者〔日本医師会、日本損害保険協会(損保協会)、損害保険料率算出機構〕共同の連絡協議会において案内した新基準に係る調査の結果を踏まえて、今後の方針を協議するよう求めた。

アンケート調査結果及び今後の対応指針

 その後は、まず細川常任理事が新基準の採用状況について、直近2年では全国での新基準の平均採用率は6割程度であり、採用率は各地域でばらつきがある他、どの地域も時系列で見ると採用率が横ばいであることに言及。都道府県医師会に対して、採用状況の確認と更なる周知を要請した。
 一方、新基準の名称について、30年以上前にできた基準を「新基準」と称するのは実態にそぐわず、誤解を招くとの日本医師会労災・自賠責委員会からの指摘を踏まえ、自賠責審議会答申における「診療報酬基準案」という名称に沿って、「自賠責診療報酬基準」と呼称を統一することを提案。「現時点では損保業界と統一した呼称ではなく、あくまでも医師会としての呼称」とした上で、その周知への協力を呼び掛けた。
 続いて、伊澤和耶損保協会損害サービス企画部自動車グループ主任が、新基準のアンケート調査の結果について報告を行った。
 同調査は、三者合意で策定された新基準の利用実態を把握し、普及促進を図るために令和6年10~11月に実施したものである。
 調査対象は令和5年度に自賠責に自由診療として請求実績がある医療機関2万1538件。そのうち13・9%に当たる2998件から回答を得たとした。
 その上で伊澤主任は、交通事故における自由診療の請求に当たり新基準を「全く使用していない」理由として「新基準をよく知らないため」との回答が突出していることに触れ、周知の必要性に言及。調査結果を踏まえ、今後も三者で連携し新基準の普及や制度化に向けて検討を進めたいとした。
 結果報告を受けて細川常任理事は、今後の対応策として、(1)周知活動、(2)周辺環境の整備―を挙げ、(1)では、トラブル回避機能や損保会社の支払いの厳格化など、多くの医療機関に新基準のメリットを理解してもらう必要性を指摘。(2)では、レセコンの環境整備や、ハウツー動画の作成等による請求手順を分かりやすく伝える取り組みが不可欠だとした。
 続いて同常任理事は、昨年11月に実施した①厚生労働省保険局保険課診療報酬改定DX推進室等②金融庁・国土交通省―との意見交換会について報告した。
 ①では、労災版共通算定モジュールを自賠責診療報酬基準に導入できれば請求が大幅に簡素化され、請求業務の負担軽減や当基準の採用率向上等が見込まれるとの認識を共有した他、今後の課題として「開発・運用の費用負担」「保険会社間でのデータ互換性の確保」「中長期を見据えたネットワーク環境の整備」を挙げた。
 ②では、制度化に前向きな意見が出た他、診療費基準の統一は被害者の利益となり、窓口トラブルなどの社会的コストの削減等にもつながるとの認識を共有。また、金融庁からは交通事故の被害者を救済することが最優先だとして救済漏れのリスクを懸念する声が、国交省からは制度化を担う監督省庁等を整理することが必要だとの意見が出された他、日本医師会から各省庁に対し、制度化の「具体的な手法」の提示や、自賠責審議会等への公式な提言に向けた「進め方」の検討を要請したとした。

三者協議会の運営改善について

 次に、根本養一損保協会損害サービス企画部長が、三者協議会の運営改善について説明。運営改善モデル案として、(1)トラブル事案に関する処理フローの整備、(2)今日的な観点での会則改定やガイドラインの策定、(3)その他、コミュニケーション強化に関する好取組事例の紹介―を挙げるとともに、「引き続き、各地区で本モデル案を活用し、関係者間で十分にコミュニケーションを取りながら、運営改善に向けて協議・展開していきたい」と述べた。
 その後は活発な質疑応答が行われた。
 総括を行った茂松副会長は、「現場で十分に診療ができるようにすること、現場でのトラブルを極力減らすこと、そして被害を受けた患者を早期に社会復帰させることが重要だ」として、現場に即した対応を行っていく考えを示すとともに、健康保険の使用や支払遅延等に係る問題の解決、更には共済組合やネット損保などにも協議に参加してもらえるよう、引き続き議論していくとした。

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