閉じる

令和8年(2026年)2月5日(木) / 南から北から / 日医ニュース

フレイルのお年頃になって

 昨年古希を迎え、体力の衰えを感じることが増えてきている。以前できていたことができなくなるのはつらいもので、病気は他人がなるもの、こちらは治す方だとこれまで思ってきたが、徐々に逆転しつつある。
 最近は下肢筋力が衰え、走ることがつらくなってきた。これまで手を引いてあげていた孫の後塵を拝すようになり、スクランブル交差点では、危うく点滅に引っかかってしまうこともある。辛うじて病院の階段は自分の足で上っているが、駅の階段は人とぶつかって転んでは元も子もないので、エスカレーターに頼るようにしている。昨年の同窓会では、転んで慢性硬膜下血腫手術を受けた同級生が何人もいて、自転車通勤はやめることにした。
 コロナ蔓延(まんえん)の頃から、大きな声で話すこともなくなったためか、飲食でむせることが多くなった。何とかせねば入院する羽目になると感じ、のどを鍛えることにした。学生時代からロックバンドでボーカルを担当していたので、歌唱には多少自信があったが、プライドを脱ぎ捨ててボイストレーニングに通うことにした。
 初日、アンケート用紙を渡され、ボイトレの目的を書かなければならない。1.プロの歌手になりたい、2.カラオケが上手になりたい、3.人前で話せるようになりたい......などの項目が挙げられていた。最後まで見たが、誤燕防止という項目は無い。仕方なく、フリーハンドで書いたが、それを見た担当講師からは、「このような目的の方は初めてです」と言われた。
 その後3年間、月に2回ボイトレに通っている。さすがに若い頃の高音は出ないが、結構高い声も出るようになり、何よりむせることもなくなってきた。お年寄りのカラオケの会は馬鹿にならないと感じている。
 今一番の課題は、思った言葉がすぐに出てこないことで、家内とはアレ、ソレの会話になっている。認知機能の向上には楽器演奏が効果があると言われており、ギターは毎日弾いているが、若い頃に覚えた曲ばかりで役に立ちそうにない。新しいことにチャレンジしなければ意味がないと思い、引退したらピアノでも習おうかと考えている今日この頃である。

埼玉県 浦和医師会報 第785号より

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる