閉じる

令和8年(2026年)2月5日(木) / 南から北から / 日医ニュース

ココちゃん、イガグリから家族へ

 わが家の家族、ハリネズミのココちゃんについてお話させて頂こうと思います。2021年の夏。世界がマスクと消毒液に包まれていたコロナ禍に、わが家に突如、ココちゃんが現れました。外出もできず、友達とも遊べない日々の中、「動物とゆっくり向き合えるチャンスかも?」という、今思えばちょっと甘い考えで、わが家はペット飼育未経験にもかかわらず、いきなりハリネズミを迎えるという無謀なチャレンジに踏み出しました。夫は最初、「え、針? ムリムリ」と完全に腰が引けていたものの、息子の「飼いたい!」という熱意と、妻(私)の「子どもの頃、ハムスターと犬は飼ってたし!」という謎の自信に押され、ついにわが家にやってきたのです。
 きっかけは、1年前の神戸旅行。ふらっと立ち寄ったハリネズミカフェで、手のひらや膝に乗ってくる人懐っこいハリネズミ達に家族全員がメロメロに。「え、これならうちでも飼えるんじゃない?」という、今思えば完全なる勘違いから、ネットで飼育方法を調べ、ケージや寝床、トイレ砂、運動用ランニングホイール(歯車)、フードをそろえ、わが家にココちゃんをお迎えしました。
 ところが、ペットショップで渡されたココちゃんは、全身針を立てて完全防御モード。まるでイガグリで、顔なんて見えやしない。ケージに移すために、グローブで触ろうとすれば「シューシュー!」と威嚇音。触れ合いどころか、観察すら困難でした。しかも夜行性なので、昼間はずっと寝ていて、家族が寝静まった夜中にだけ、歯車で爆走し、朝にはケージがうんこまみれ。本人は寝床で爆睡。イガグリ状態のココちゃんを遠目から観察する日が続きました。それでも子ども達は諦めず、「ココちゃ~ん」と声を掛け続け、少しずつ餌の匂いにつられて姿を見せるようになりました。爪切り、体洗い、グローブ越しのスキンシップ、子どもも親も、悪戦苦闘の末、ようやく「わが家のペット」になってくれました。
 ある日、もっと仲良くなりたい!と欲を出した母(私)が、チュールタイプのスティックのおやつを買ってきて与えると、ココちゃんは大喜び。調子に乗って毎日あげていたら、主食を拒否するようになりました。「ママのせいでココちゃんがごはんを食べなくなった!」と子ども達に怒られ、反省する母。
 ココちゃんの断食ストライキが3日程経った時、さすがに私も心配になり、ペットショップに相談したところ、「ミルワームを食べさせてみて下さい」と一言。結局、ミルワーム(うねうねのハエの幼虫)を買う羽目に。ミルワームは冷蔵保存が必須。でも食品冷蔵庫には入れられないため、仕方なく、ミルワーム専用の小さな冷蔵庫も一緒に購入することに......。ここでわが家は、完全にドツボにはまっておりました。
 それでも、ココちゃんが再び主食を食べるようになり、おやつは封印。毎朝のケージの掃除が日課となり、グローブ越しの触れ合いも続く中、なぜか息子だけは素手で抱っこできるという謎の絆が。
 そして2年が経った頃。ココちゃんは、まるで「もう慣れたよ」と言わんばかりに、私達の目の前で、歯車で遊び、砂でゴロゴロ、餌もモリモリ食べるようになりました。「ついに心を開いてくれた!」と喜んでいた矢先、歩き方がよろよろするように。ある夜、寝床から出て来ず、動かないココちゃんにスポイトで水をあげ、翌日病院へ......と思っていたら、朝には静かに旅立っていました。
 ココちゃん、うちに来てくれてありがとう。たくさんの笑いと、ハプニングと、家族の思い出をくれたあなたは、今でも子ども達の心の中で生きています。誕生日には「今日はココちゃんの誕生日だね。おめでとう」と言ってくれるよ。ずっと、家族だよ。

福井県 福井県医師会だより 第774号より

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる