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令和7年(2025年)10月5日(日) / 日医ニュース

福岡厚労大臣、加藤財務大臣に補正予算の編成と、期中改定もしくはそれに相当する補助の早急な実施等を要望

福岡厚労大臣に要望書提出(9月11日、大臣室にて)福岡厚労大臣に要望書提出(9月11日、大臣室にて)

福岡厚労大臣に要望書提出(9月11日、大臣室にて)福岡厚労大臣に要望書提出(9月11日、大臣室にて)

 松本吉郎会長は、高橋英登日本歯科医師会長、岩月進日本薬剤師会長並びに二度の厚生労働大臣などを歴任した田村憲久衆議院議員と共に、9月11日に厚労省で福岡資麿厚労大臣に、翌12日には衆議院議員会館で加藤勝信財務大臣に、三師会の会長名で取りまとめた要望書を提出した。
 会談の中で松本会長らは医療機関等の窮状を訴えた上で補正予算を編成し、期中改定もしくはそれに相当する補助を早急に行うことや、オンライン資格確認に用いる機器の更新・入れ替えに伴う費用の補助を強く求めた。

 今回提出した要望書は、(1)医科歯科医療機関、薬局等における賃金・物価の上昇等への今年度中の対応、(2)オンライン資格確認の機器更新費等の補助―の二つを求めている。
 福岡厚労大臣並びに加藤財務大臣に提出した(1)の要望書では、公定価格で運営されている医科歯科医療機関、薬局等においては、診療報酬改定が2年に一度だけであり、令和7年度の最低賃金プラス5・97%、人事院勧告プラス3・62%、「骨太の方針2025」でも示された2025年春季労使交渉の平均賃上げ率5・26%等に対応できるような状態ではないことを説明。その上で、①補助金による早期の適切な機動的対応②診療報酬による安定的な財源の確保③令和8年度診療報酬改定前の期中改定もしくはそれに相当する補助―の実現を強く求めている。
 一方、福岡厚労大臣のみに提出した(2)の要望書では、オンライン資格確認に用いる「オンライン資格確認端末」と「顔認証付きカードリーダー」について、早期に導入した医療機関・薬局等においては保守期限を迎えつつある中で、近年の物価高騰による影響を受け、機器を更新する費用が大きな負担となり、閉院を考える医療機関・薬局等が多く出てくることが想定されるとして、機器の更新・入れ替えに伴う費用を医療情報化支援基金等によって全額補助することを国に対して求めている。

現場への支援を早期に届ける施策を検討する―福岡厚労大臣

 11日の福岡厚労大臣との会談の中で松本会長は、閉院や倒産が相次ぐ医療機関・薬局等の窮状を訴え、補助金と診療報酬両面からの対応を求めるとともに、オンライン資格確認の機器更新などに当たっては、更新費等の全額補助を要望。また、賃金・物価上昇への対応については、「どこかを削減してどこかへ充てるという対応をしている状況ではない」と強調した。
 また、岩月日本薬剤師会長は、「公費で運営している医療機関・薬局等にも、最低限、人事院勧告と同じ基準は認めて欲しい」と訴えた。
 オンライン資格確認の機器更新などについては、高橋日本歯科医師会長もオンライン資格確認導入時のイニシャルコストを理由に歯科医院の閉院が増加したことなどを説明し、「偏在が進んでしまわないためにも補助をお願いしたい」と要望。田村議員は今回、三師会から機器の更新費等の補助を求める要望が出されたことについて、「そもそも診療報酬等が足りていれば、今回のような要望はあがってこないはずだ」と指摘した。
 三師会からの要望を受けて、福岡厚労大臣は、現場への支援を早く届ける施策を検討する意向を示すとともに、「政局がどのようになるか分からない状況ではあるが、次につなげられるようにしっかりと弾込めをしていきたい」と述べた。

今年度中の補正予算の成立を目指す―加藤財務大臣

251005a2.jpg 12日の加藤財務大臣との会談の中では、松本会長が、公定価格で運営されている医療機関は、令和7年度の最低賃金(プラス5・97%)や人事院勧告(プラス3・62%)、2025年春季労使交渉の平均賃上げ率(5・26%)等に対応できる状態にはないばかりか、継続的な物価高騰も相まって、経営状況は著しくひっ迫していると訴え、補助金と診療報酬両面での対応を強く要望した。
 これに対し、加藤財務大臣は一定の理解を示すとともに、「骨太の方針2025」には「次期報酬改定を始めとした必要な対応策において、(中略)経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う」と明記されていることに言及。「コストカット型からの転換を明確に図る必要がある」と述べた他、歳出改革を通じた保険料負担の抑制努力も継続しつつ、賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行うことが重要であるとし、今年度中の補正予算の成立を目指す必要性があるとの認識を示した。
 また、人口が減少局面に入り、患者の動向や医療ニーズも変化していくとの見通しを示し、新たな地域医療構想を着実に進めながら、現在の医療ニーズだけでなく、将来的な医療ニーズにも応えられるような医療提供体制の構築が必要と指摘。
 松本会長もこれに賛意を示し、日本医師会は今後も国と協調しながら、国民のニーズに応えられる医療提供体制の構築に努めていく意向を示した。

 2つの要望書の全文は日本医師会ホームページのプレスリリースをご覧下さい。
https://www.med.or.jp/nichiionline/press/

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