

日本医師会設立78周年記念式典並びに医学大会が11月1日、高橋英登日本歯科医師会長、岩月進日本薬剤師会長らの出席の下、日本医師会館大講堂で開催され、長きにわたって医学・医療の発展に貢献した功労者を表彰した。
冒頭、あいさつした松本吉郎会長は受賞者に祝意を伝えた上で、設立78周年を迎えた日本医師会は、わが国の医師を代表する唯一の団体として78年の歩みを重ねてきたとするとともに、「先達の絶えざる努力によって地域医療を守り、国民の生命と健康を支えてきた歴史と伝統は私達の誇りである」と強調した。
また、現在、人口減少と急速な高齢化に加え、物価高騰や賃上げ対応等の課題が多層的に重なり、わが国の医療が未曽有(みぞう)の危機に直面していることにも触れ、このような状況を打開し、国民が安心して医療を受けられる社会を次世代に確実に引き継ぐには、日本医師会の組織強化をより一層図り、たゆまぬ歩みを継続することが重要との認識を示した。
その上で、国民皆保険の堅持には医療提供体制の安定確保が必要で、そのためには医師が働きやすい環境の整備等が重要とし、日本医師会としても、これらの課題の解決に引き続き邁進(まいしん)していくとした。
引き続きあいさつした上野賢一郎厚生労働大臣(榊原毅審議官代読)は、日本医師会及びその会員に対して、平時からの地域医療への尽力に謝意を示すとともに、受賞者に祝意を伝えた。
その上で、現在の医療行政について、少子高齢化が急速に進行する中で、将来にわたって質の高い医療を提供していくための改革期にあるとの認識を示し、厚労省としても、新たな地域医療構想や医師偏在対策、医療DXの実現や研究開発などを推進していることを説明。更に、現下で医療機関が直面している物価高騰や医療需要の急激な変化に関しては引き続きの取り組みが必要と指摘し、今後も、日本医師会と議論を重ねながら対応を進めていく意向を示した。
その後、表彰式に移り、受賞者に対して松本会長から表彰状が授与された。
受賞者を代表して謝辞を述べた松村誠広島県医師会長は、現在、医療が置かれている状況は大変厳しく、「松本会長の言葉を借りれば"未曽有の危機的状況"である」と指摘。その一方で、時代がどのように移り変わろうとも、医師の職責である「国民の生命と健康を守る」ことは不変であるとし、誇りをもって引き続き尽力していくと力強く述べるとともに、日本医師会、日本医学会が今後も発展を続けていくことを確信しているとして、「私どもの活動に対する支援を引き続きお願いしたい」とした。
なお、白寿会員148名、米寿会員761名の慶祝者には、更なる長寿を祈念して、後日にお祝いの品が贈呈された。
日本医師会最高優功賞
○在任6年都道府県医師会長(3名)
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高木伸也(青森) |
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堂前洋一郎(新潟) |
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松村 誠(広島) |
○医学、医術の研究又は地域における医療活動により、医学、医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し、特に功績顕著なる功労者(都道府県医師会長推薦)(個人15名)
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●地域における保健医療活動に貢献した功労者 中島豊爾(岡山) |
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●地域における保健医療活動に貢献した功労者 兼定啓子(山口) |
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●地域における保健医療活動に貢献した功労者 大和秀夫(徳島) |
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●地域における保健医療活動に貢献した功労者 上津原甲一(鹿児島) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 菊地達之(茨城) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 登坂 薫(埼玉) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 髙橋裕一郎(神奈川) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 国枝武俊(岐阜) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 二井 栄(三重) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 大坪一夫(京都) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 置塩 隆(兵庫) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 白川敏夫(広島) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 宇賀四郎(高知) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 長柄 均(福岡) |
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●医師会事業に著しく貢献した功労者 真栄田篤彦(沖縄) |
日本医師会優功賞
○在任10年日本医師会代議員(12名)
小泉ひろみ(秋田)
今泉友一(群馬)
丸木雄一(埼玉)
浅井清和(愛知)
内田寛治(京都)
上野 豊(大阪)
栗山隆信(大阪)
上林雄史郎(和歌山)
加藤智栄(山口)
石橋正彦(福岡)
河野幸治(大分)
稲田隆司(沖縄)
○在任10年日本医師会委員会委員(44名)
五十嵐知規(秋田)
三條典男(山形)
新妻和雄(福島)
角田 肇(茨城)
佐田尚宏(栃木)
長島 徹(栃木)
服部徳昭(群馬)
小室保尚(埼玉)
齊藤正身(埼玉)
田村正徳(埼玉)
前田浩利(千葉)
正井基之(千葉)
三宅一徳(千葉)
横手幸太郎(千葉)
天野景裕(東京)
門脇 孝(東京)
小林弘祐(東京)
滝川 一(東京)
田邉晴山(東京)
中村知夫(東京)
宮原保之(東京)
國分茂博(神奈川)
小松幹一郎(神奈川)
伊在井みどり(岐阜)
秋山欣丈(静岡)
毛利 博(静岡)
山崎隆志(静岡)
太田圭洋(愛知)
曽我俊彦(三重)
田中孝幸(三重)
池西静江(京都)
近藤尚己(京都)
濱島高志(京都)
笠原幹司(大阪)
西口 郁(兵庫)
岩井 誠(奈良)
木村 丹(岡山)
若林久男(香川)
加藤正隆(愛媛)
島 弘志(福岡)
辻 裕二(福岡)
貝原良太(佐賀)
上戸穂高(長崎)
吉賀 攝(大分)
日本医師会医学賞
●血液細胞の産生、骨芽細胞の供給に必須の骨髄微小環境(ニッチ)の解明
長澤丘司(阪大・免疫学)
●医療と介護を結ぶヘルスサービスリサーチの構築と展開
田宮菜奈子(筑波大・社会医学)
●双極性障害の神経基盤の解明
加藤忠史(順天堂大・精神医学)
●角膜難病の視力予後改善に向けた実用的研究
外園千恵(京都医大・眼科学)
日本医師会医学研究奨励賞
●日本人におけるRNF213遺伝子多型と多様な疾患に関する横断的病態解析
曳野圭子(理化学研・小児科学・集中治療)
●高解像度空間解析を活用したリンパ腫微小環境機構の解明
安部佳亮(筑波大・血液内科)
●転写・翻訳解析に基づいた血液がんの新たな病態理解と治療応用
井上大地(阪大・血液内科)
●T細胞によるセルフとネオセルフの識別機構を標的とした自己免疫疾患の発症機序解明と新規治療戦略の開拓
森 俊輔(阪大・膠原病・リウマチ)
●医療側と患者側のデータ統合による代表性を担保した保健医療政策研究
杉山雄大(国立健康危機管理研究機構・社会医学)
●現代の社会環境が子どものメンタルヘルスに及ぼす影響に関する社会疫学研究
細澤麻里子(国立健康危機管理研究機構・公衆衛生学)
●治療補助アプリによるアルコール依存症早期介入の最適化―効果層別化による診療科別治療分担モデル構築
宋 龍平(岡山県精神科医療セ・精神医学)
●上下気道アレルギー疾患のシングルセル・マルチオミクスアトラスの創生と個別化医療の推進
吉田昌弘(慈恵医大・呼吸器内科学)
●ミトコンドリア伝播の難治性肺疾患への影響の解明
冨樫庸介(岡山大・呼吸器内科学)
●転写因子に着目した消化器神経内分泌癌の臨床分類と新規治療法開発
川﨑健太(慶大・消化器内科学)
●高ショ糖を介した肥満症・糖尿病発症機序における免疫細胞GLUT5の病態生理学的意義の解明
川野義長(慶大・内分泌代謝学)
●大腸がんにおける中皮細胞起源腫瘍免疫制御メカニズムの解析
笠島裕明(大阪公立大・消化器外科学)
●腫瘍由来エクソソームに着目した泌尿器癌におけるがん免疫制御機構の解明とコンパニオン診断薬の開発
占部文彦(慈恵医大・泌尿器科学)
●海馬Rippleを標的とした新規てんかん治療法と記憶障害に関する基盤的研究
岩田貴光(阪大・脳神経外科学)
●AI学習を用いたp53変異婦人科癌における新規p53染色パターンの空間的分布解析
岩橋尚幸(和医大・産科婦人科学)
白寿会員(148名)
飯田尚治(北海道) 他
米寿会員(761名)
佐藤保則(北海道) 他
なお、日本医師会医学賞受賞者による講演動画を日本医師会ホームページ・メンバーズルーム内で公開しているので、ぜひご覧頂きたい。





















