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令和7年(2025年)7月5日(土) / 南から北から / 日医ニュース

プール事情

 小さい頃のプールと言えば悠久山プールと希望が丘プールです。末広町のわが家からはどちらも子どもだけでは行けず、親に頼んで連れて行ってもらっていました。準備するのは学校のピタッとした短い水着と水泳キャップです。特に希望が丘プールの長い滑り台(スライダー?)は子どもにとってはとてつもないアトラクションでワクワクさせられたのを今でも覚えています。
 プールでの食事は施設内で販売しているパンが定番でした。魚肉ソーセージの入ったぐるぐる巻かれた揚げパン?をよく食べていましたが、プールで食べるパンは特別おいしく感じました。夏場だけの特別な思い出です。そんな思い出の悠久山プールは昨年度末で廃止されてしまったようです。
 さて、ここからが本題です。私も親になり、今度は子どもをプールに連れていく立場となりました。
 小さい頃の思い出から近場のプールに連れていくイメージをもっていましたが、時代が進み勝手が違っていました。
 小学4年の娘から見せられたのはYouTubeの動画でした。動画の中では外国人が壮大なウォータースライダーや、光のイルミネーションとともに天高くまで吹き上がる噴水のあるプールで遊んでいました。場所はドバイのようでした。さすがに海外のプールは難しいと子どもに譲歩するよう頼み込み、何とか国内のプールで手を打つこととなりました。
 そうして、またYouTubeを見せられ、行けそうな所を交渉し、残った選択肢は二つ。福井県の芝政ワールドか福島県のスパリゾートハワイアンズでした。残念ながら新潟県内に娘が納得するプールはありませんでした。
 いざ決心をして、令和6年のゴールデンウイークにハワイアンズへ日帰り弾丸ツアーに行って参りました。
 その前にまずは準備です。私の小学校時代と違い、今はスクール水着ではダメなようです。小学4年と言えど、女性です。おしゃれな水着にラッシュガードなるものを求めてくるのです。そして必須なのはスマホケース。水の中でも写真撮影ができる防水ケースを購入しました。
 福島県いわき市で開園は10時30分。ゴールデンウイークの混雑を予想し、朝6時に娘と二人出発しました。磐越道を飛ばし、現地に9時着。早いかと思いきや、既に20~30組が並んでいました。並んで1時間もすると推定1000組は超える列となりました。
 開園とともにダッシュで更衣室に向かいます。時代は令和。娘を男性更衣室に入れることはできず、心配でしたが一人で女性更衣室に向かわせました。私は早々に着替えを済ませ、女性更衣室の前で娘を待ちます。初めての施設で苦戦したのでしょう。15分待っても出てきません。その間に推定1000組以上の来場者が続々とプールへ向かっていきます。気をもんで待っていると、20分過ぎた頃にやっと出てきました。
 今度はプールへ向かうと、何と入場券以外にスライダーの券も購入が必要で、販売所には100人を超える列ができていました。娘だけプールへ向かわせ私が一人で列に並びます。入場直後から戦いが続き、列に並びながら異性の子どもを持つ一人親の気持ちを想像していました。
 何とか券を購入し、多様なスライダーやプールを楽しみ、機会をうかがっては写真を撮りまくりました。食事はロコモコプレート。悠久山プールのパンとは違うなーと思いながら1500円ほどを支払いました。
 そしてメインイベントの日本一のスライダー「ビッグアロハ」です。これに乗るだけで1000円以上掛かります。30~60分待ちの階段の列に娘と並びます。40分くらいしてあと5~6組のところまで来ました。ここまで来たのに......です。「怖いからやっぱりわたし乗らない」。
 こうなってしまっては絶対乗らないのです。娘の希望をかなえるためにここまで来たのに、私一人で乗ることとなりました。
 2コースあるので大抵ペアでスタートします。私のペアは相手もお一人様の中年男性で、妙な空気の中、同時にスタートします。「私は今何をしているのだろう......」そんな複雑な気持ちでスタートしましたが、経験の無いスピード、目まぐるしく変わる景色などスリリングで最高でした。
 いろいろあった後の帰り道。疲れた体で車に乗り込むと娘が言いました。
 「連れてきてくれてありがとう。パパが疲れてるのに悪いから、私も帰り道は寝ないようにするね」
 何ともうれしい言葉でした。そして磐越道に乗り込むこと3分。早速いびきが聞こえてきました。そんな娘のいびきを聞きながら楽しく帰りました。

新潟県 長岡市医師会たより NO.532より

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