本屋で見付けた小説「ひなた弁当」を読んだ。人員削減によるリストラを受けた中年サラリーマンが、公園でドングリを拾っている親子を見掛けたことをきっかけに、木の実やタンポポなど食べられる野草に魅せられていく。更に川で釣った魚なども食材として、弁当作りに目覚め奮闘していく人生大逆転のストーリーだ。
子どもが小学生の頃、一緒にタンポポの自由研究をやった。
綿毛の数を数える・綿毛から植えて綿毛になるまで育てる・土の条件を変えて育てる・植える時期を変えて育てる・葉や根を食べてみるなどして、私は自称タンポポ博士になった。
このため、わが家の庭にはタンポポの株があちらこちらにはびこっている。
小説を読み終えて心が躍り、「そうだ、またタンポポを食べてみよう!」と思い立った。
まずは葉をおひたしにした。
しっかりゆでてゴマであえてみたところ、若干苦みは残るがお漬け物代わりにはなった。しかし夫は一口食べて「ごちそうさま」と箸を置いた。ゆでた後に水にさらす時間をもう少し長くするべきだった。
お次は野草の天ぷら。
タンポポの葉、ヨモギの葉、お茶の新芽を少量の油で揚げてみた。衣は卵を加えずシンプルに、岩塩・ハーブ塩・カレー塩などを少々ふりかけてみたところ、どれもおいしかった。もっとも大葉の天ぷらと同じで味はほとんど無いのだが香ばしさがくせになりそうだった。
庭のお茶の木で茶摘みをして煎茶作りにも挑戦した。
YouTubeを参考に電子レンジを利用して作ってみた。蒸した茶葉をもむ作業を繰り返してようやく煎茶っぽくなった。少し青臭みはあったがまあまあのでき上がりとなり、自家製の新茶を頂く夕食後は何ともぜいたくなひとときだった。
サクランボの木は毎年たくさんのルビー色の実を付けてくれる。一昨年は頑張ってジャムを作ってみたが、種を取り除く作業が大変だったので一度きりで終わった。例年は鳥に食べられないように網を掛けていたが、全部は食べきれないので昨年からは鳥達と分かち合うことにした。
今年もザルいっぱい収穫したサクランボは季節限定のデザートになった。きっと鳥達も喜んでくれたことだろう。
3年前に「タラヨウ」の苗木を購入して庭に植えた。タラヨウの葉は「葉書」の語源にもなったと言われていて葉の裏に先のとがったもので字などを書くことができる。このため「郵便局の木」に制定されており、敷地内によく植えられているそうだ。
生の葉には切手が貼りにくいのでラミネートをしてから子どもに郵送したが、あまり喜んでくれた様子はなかった。誰か私に出してくれないかなあ。
そういえば子どもの頃、草や木の実を集めて「ままごと」や「お店屋ごっこ」をよくやった。オシロイバナの種の中身を集めてお化粧のまねごともした。
いまだに私はあの頃と同じことをしてワクワクしている。何年か前にドクダミの花を焼酎に漬けて化粧水を作ったことがあったが、今年はドクダミとヨモギのブレンド健康茶を作ってみようと思い付き、陰干しをしている。
熱しやすくて冷めやすい私のことだからどれも試作で終わってしまいそうだが、これからも大人のままごと遊びを楽しみたいと思っている。