釜萢敏副会長は12月25日の定例記者会見で、(1)インフルエンザの流行状況及び新型コロナウイルス感染症の流行状況、(2)急性呼吸器感染症(ARI)の5類感染症への指定―について解説した。
まず、インフルエンザの流行状況については、全国的に急激な増加が見られており、直近のデータ(疫学週第50週 12月9~15日)では定点当たり19.06と、注意報が出される10.00を超えたことを説明。一部の医療現場では患者数の増加に伴い、検査キット等の入手にも支障が出始めているとの声が出ていることを指摘し、厚生労働省と協議を進めつつ、状況を注視していく姿勢を示した。
また、医療機関で現在使用している抗原定性検査キット等が不足した際の対応策として、別メーカーのものを使用したり、新型コロナとインフルエンザの同時検査キットを使用することを挙げた上で、全体として見た場合には、検査キット等が全国的・慢性的に不足して混乱を来すような状況にはなっていないとして、冷静な対応を呼び掛けた。
新型コロナウイルス感染症の流行状況については、昨年の同時期と比べると報告数が少ないものの、徐々に増えてきていると説明し、引き続き注意が必要とした他、感染症全般への対策として、改めて人混みでのマスクの着用や帰宅後の手洗い、換気などの重要性を強調した。
次に、急性呼吸器感染症(ARI)の5類感染症への指定に伴う定点医療機関でのサーベイランスが来年4月から始まることについて触れ、いわゆる「風邪」(風邪症候群)も含まれるのではないかという国民や医療機関の関心が高いとした上で、今回のサーベイランスの趣旨は、パンデミックを引き起こすような急性の呼吸器感染症の状況を早期に把握できるようにすることであると説明した。
釜萢副会長は更に、「急性呼吸器感染症(ARI)を5類に分類したからといって、何か国民に生活上の大きな制約や不都合が生じることはない」と述べ、就学・就業を始め、治療上の対応についても変化はないことを強調。一方、報告を行う定点医療機関については、その負担軽減のために、今後の方向性として診断を確定した場合にほぼ自動的に報告されるようなシステムの構築が必要との見方を示した。
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