令和6・7年度小児在宅ケア検討委員会はこのほど、中間答申を取りまとめ、5月28日に担当の渡辺弘司常任理事立ち会いの下、河野幸治委員長/大分県医師会長から松本吉郎会長にWEBを用いて提出した。
今回の中間答申は、松本会長からの諮問「医師会による小児在宅ケアの体制整備と医療的ケア児者の支援について」に対して、次期診療報酬改定に向けて、(1)成人を迎える医療的ケア児が増える中で、医療的ケア者へ切れ目のない医療提供が急務となっており、診療報酬面からスムーズな移行を後押しする、(2)現場の実態に合わせ、適切な在宅医療の提供をより推進することができるよう診療報酬について提案する、(3)医療的ケア児支援法にのっとり、学校や保育所等の受け入れ促進に必要な医療体制を整備する―という三つの観点から議論を重ね、取りまとめられたものである。
具体的には、(1)では特に成人科病棟での医療的ケア者の受け入れ体制の整備が急務となっているとして、「医療的ケア者等入院診療加算」及び「成人移行支援連携指導料1、2」を新設することを提案している。
(2)では「在宅小児経管栄養法指導管理料」について15歳以上の場合、「体重が20キログラム未満である場合に限る」とする算定要件を見直し、15歳未満から経管栄養を継続し、かつ管理栄養士が医師の指示に基づき年に1回栄養食事指導を行っている場合には算定を認めるよう要望。
また、人工呼吸器を使用する患者について、①気管カニューレには蒸留水等の定期的な補充が必要であるにもかかわらず、在宅人工呼吸指導管理料にはこれらに関する加算がない②地域の医療機関にとって、加湿水等の提供に掛かる費用負担がネックとなっている―などを挙げ、加温加湿器及び加湿水の提供に掛かる加算を新設するよう求めている。
更に、「外来在宅共同指導料1」に関して、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施した場合も算定は可能であるが、実際には算定が難しくなっていると指摘。ビデオ通話による共同指導において、在宅療養を担当する医療機関の医師の訪問を要件とせず、医師以外(社会福祉士等)の者が患家を訪問した場合にも算定可能とするよう要望している。
(3)では、学校・保育所等への往診について医療的ケア児に限り、診療報酬の算定を可能とすること、仮に難しい場合には、障害福祉サービス等報酬や文部科学省・こども家庭庁予算での対応を要望。その他、介護保険制度の小規模多機能型居宅介護施設では往診料の算定が可能となっていることを踏まえ、福祉型短期入所への往診についても、算定可能とするよう求めている。
なお、本委員会では引き続き、医師会による小児在宅ケアの体制整備と医療的ケア児者への支援について、検討を重ねていくこととしている。