日本医師会定例記者会見 9月18日
長島公之常任理事は、ベースアップ評価料の届出について、9月11日に簡素化された届出様式が厚生労働省より示されたことを受け、届出に係る日本医師会の取り組みと併せて説明を行った。
同常任理事は、まず、令和6年度診療報酬改定において、職員の賃上げの原資となるベースアップ評価料が創設された経緯や目的を改めて説明し、「人材確保は、医療の質と安全の確保、地域医療提供の継続のために必要であり、日本医師会としては、できるだけ多くの医療機関でベースアップ評価料を届出・算定をして、ぜひ活用して頂きたいと考えている」と強調。一方で、「届出様式が複雑で届出が難しい」という意見が多かったことから、日本医師会として説明会の開催などを通じて分かりやすい解説を行うとともに、届出の負担を減らすための対応を厚労省と相談してきた結果、今回の簡素化が行われたとした。
続いて、これまで日本医師会が取り組んできた具体的な対応として、(1)厚労省と共に「診療報酬オンラインセミナー」を開催、(2)日本医師会ホームページ(メンバーズルーム)に「ベースアップ評価料の届出について」の特設ページを開設、(3)都道府県医師会社会保険担当理事連絡協議会を厚労省との共催により開催、(4)スタッフの数が限られている診療所の届出を支援するための、最もシンプルな届出例(賃金改善計画書)を解説するスライド(音声付き)を日本医師会ホームページ(メンバーズルーム)に公表―したことを挙げるとともに、今後も精力的に支援活動を行っていく姿勢を示し、まだ届出を行っていない医療機関については、日本医師会と厚労省のホームページを併せて確認して頂くよう呼び掛けた。
次に、届出を行う医療機関の負担を軽減し、円滑な届出を可能とする観点から簡素化が行われた今回の届出様式について、主な変更点を解説した。
全般的に記載上の説明を詳しく、分かりやすいものにした上で、賃金改善計画書関連では、(1)対象職員の基本給等に係る事項の職種グループ別の記載箇所、(2)ベースアップ評価料対象外職種の「給与総額」に関する項目―が削除され、記載量が削減されている他、「賃金引き上げ計画書作成のための計算シート」についても、ベースアップ評価料(Ⅱ)を届出しない場合は、対象職員の給与総額の記載が不要になったことを紹介した。
また、届出様式の改定に伴い、厚労省の「ベースアップ評価料 特設ページ」も刷新されたことに触れ、新しい届出様式に加え、初めてベースアップ評価料の届出を行う医療機関向けの資料や動画、支援ツールなどが掲載されていることを紹介の上、その活用を求めた。
医療機関の持ち出しは不要
その他、届出の難しさ以外で、届出をためらう理由となっている事項として、「医療機関が持ち出しをしてまで賃上げをする必要があるのか」「今後の診療報酬改定でベースアップ評価料は継続するのか」という懸念があることを説明。前者については、プラス2・5%のベースアップは算定要件ではなく、医療機関の持ち出しは必要ないことを強調し、「安心して届出して頂きたい」と述べた。
後者については、10年以上前から維持されている介護分野の「介護職員等処遇改善加算」を例に挙げ、今後の診療報酬改定でベースアップ評価料が単純に廃止されることは考えづらいとの見方を示し、日本医師会としても継続できるよう尽力していくとした他、「ベースアップ評価料が幅広く活用されることが継続の強い後押しになる」とした。
多くの医療機関で届出・算定を
同常任理事は最後に、「日本医師会として、今後も厚労省と連携して、また、都道府県医師会や各臨床医会のご協力を頂きながら、できるだけ多くの医療機関でベースアップ評価料を届出・算定をして頂けるように、取り組んでいく」と改めて決意を示した。
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