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令和6年(2024年)5月20日(月) / 日医ニュース

日本臨床分科医会代表者会議 所属医会の活動③

※活動の詳細は各会のホームページをご覧下さい。

日本臨床整形外科学会

①現在、本会で最も力を入れていること
 まず、本会(JCOA)では災害医療チーム(JCOADiT:JCOA Disaster Team)を組織し、地震や風水害などの自然災害に備えています。これは熊本地震を契機に設置したもので、当初は災害派遣医療チーム(DMAT)、日本医師会災害医療チーム(JMAT)による急性期・亜急性期の活動後の役割を想定していましたが、令和6年能登半島地震を受け、亜急性期での参加も念頭に置いて活動の場を検討しています。
 次に、柔道整復師(柔整師)等の医業類似行為による健康被害から国民を守る活動を長く続けています。柔整師と整形外科医の区別がつかない国民が多く、啓発活動を通じて健康被害を減らすことを目指しています。
 その他、子ども達の健康を守るために、学校における運動器検診の重要性を示す活動も行っています。
②本会が抱えている課題
 会員の高齢化とそれに伴う会員数の伸び悩みがあります。社会の変化に伴い、会員も高齢化し、人口減少により新規開業も困難になっています。また、未入会の整形外科開業医も多く、勧誘活動を行っていますが、群れることを嫌う医師もおり、入会してもらうのに苦労しています。
③日本医師会員へお願いしたいこと
 まず、柔整師やあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師(あはき)などの医業類似行為者から、施術に対する同意書に署名を求められた場合には、療養担当規則を遵守し、安易に署名しないようにして欲しい、ということがあります。
 そして、私達は「運動器の健康・日本協会」が提唱するスクールトレーナー制度に反対しています。理学療法士(PT)が医師の帯同無くして学校に出入りすることは医師法違反の可能性があり、また、この問題はPTの開業権にも関わる大きな問題であると考えています。

https://jcoa.gr.jp/

日本臨床耳鼻咽喉科医会

 本会は、耳鼻咽喉科のプライマリ・ケア及び難聴、嚥(えん)下障害、めまい、音声言語障害などに力を入れています。
 日本の難聴者率は11.3%で、自分が難聴であると感じている人は1,430万人いると推計されています。また、難聴は加齢とともに進行し、65歳以上の3人に1人、75歳以上の3人に2人が、補聴器装用が望まれるレベルの難聴になります。しかし、補聴器の普及率は15.0%で諸外国に比べ非常に遅れを取っています。
 本会では、一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が認定した補聴器相談医、認定補聴器技能者(認定補聴器専門店)、言語聴覚士の三者が一体となって進める補聴器の適正普及を推進するとともに、補聴器購入費用助成制度の導入を全国の自治体に働き掛けています。
 難聴によるコミュニケーション低下が認知症発症率を1.9倍にするという報告がありますが、難聴は障害であるという認識が今も色濃く残り、難聴に対する理解は十分とは言えないのが現状です。本会では、難聴に対する正しい理解を広めていくために、本年7月から学会と共催で「難聴の啓発キャンペーン」の全国展開を開始します。
 また、ヘッドフォン・スマートフォンの大音量・長時間使用による若年層の難聴は、聴力低下が軽度からせいぜい中等度までは、耳閉感、耳鳴りなどを感じることもありますが、難聴の自覚は乏しいことが多く、知らず知らずのうちに進行する危険性があります。そのため、若年層に向けて、ヘッドフォン・スマートフォン使用による騒音性難聴の正しい理解を広める活動も行っています。
 本会は、47都道府県の医会を全国組織化し、2020年4月1日に一般社団法人として設立されました。医会としての認知度は高くはありませんが、これからも精力的に活動を行っていきたいと思っています。

https://jibikaikai.or.jp/

日本小児科医会

 本会は成育基本法に沿って小児の医療、保健、福祉の充実、向上を図るための事業を行い、かかりつけ医療を基盤とした地域小児医療の研鑚(さん)として「地域総合小児医療認定医・指導医」と「子どもの心の相談医」制度を設けています。
 小児科標榜一般病院は減少傾向です。小児科が主たる診療所は少し増加していますが主に都市部となっています。小児科・産科の医師偏在問題は子どもを持ちたい家族が地方からいなくなり、地方経済の衰退、過疎化へとつながります。
 少子化、コロナ禍で加速された疾病構造の変化、働く女性の増加から来る受診行動の変容は診療所にpsychosocialな問題・課題への比重と負担を増やしていますが、そのincentiveは過小評価されています。
 成育期では、かかりつけ医の切れ目のない(ワンストップ)、身体(バイオ)・精神(サイコ)・社会(ソーシャル)な健診制度の実施が必要です。海外ではアメリカ(21歳まで30回)、フランス(16歳まで20回)、ドイツ(13歳まで13回)、韓国(6歳まで10回)の健診が行われ、いずれも費用は無料です。母子保健法では1歳6カ月児、3歳児の健康診査が義務、3~6カ月、9~11カ月児は任意でこの4回のみに従来地方交付税措置があります。その他の時期の乳幼児健診は自治体独自に行っています。
 本年1月より1カ月児健診、5歳児健診の補正予算措置が始まりました。5歳児健診は主に発達障がい境界児を就学前早期に療育等へつなげる健診とされています。また、5歳児健診マニュアルも発行されました。保健師、心理士など多職種との連携も必要ですが地域のリソースには限度があり、地区医師会、他科の先生方との連携が必須ですので、よろしくお願いいたします。

https://www.jpa-web.org/

日本産婦人科医会

①現在、本会で最も力を入れていること
 本会会員が安定した経済的基盤の上に、プロフェッショナルな団体として、質の高い安全な医療を提供できるような体制づくり、特に、世界最高レベルの周産期医療提供体制の存続です。その他、会員数の維持・増加(特に若手医師)にも力を入れています。
②本会が抱えている課題
1.周産期医療提供体制の維持ができるか否か:2024年4月に始まった医師の働き方改革によって集約化が更に進むことが見込まれ、特に周産期センターは常勤医師数が不足します。更に、2年後に予定されている分娩費用等の保険化は一次機関(産科診療所・産科病院が現在分娩の65%を担う)を中心に分娩機関の減少に拍車を掛け、お産難民が増加し、医療提供体制の維持が危ぶまれています。医療安全を確保し、分娩機関の確保、妊婦のニーズに応じるサービスの提供が懸念されます。
2.妊産婦自殺(年間60件)・子ども虐待(年間20万件以上)防止のための妊産婦メンタルヘルスケア、更に産婦人科・精神科・支援センターとのネットワークの構築のための関連機関との連携とその財源確保が懸念されます。
3.包括的性教育の推進ができるか否か:若年者(特に18歳未満)の人工妊娠中絶・出産は社会的な問題で、多くは望まない妊娠です。子どもの自殺・いじめも多く、これらを防止するため、医会では人権をベースにした人間性を重視した包括的性教育を15歳までに終了するよう、こども家庭庁と文部科学省にも働き掛けています。また、学習指導要領における性教育の歯止め規定を撤廃し、包括的性教育を推進できるかが懸念されます。
③日本医師会員へお願いしたいこと
 本会の課題を挙げましたが、本会の努力だけでは解決できない問題が多々あり、関連団体の先生方のご協力をお願いします。

https://www.jaog.or.jp/

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