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令和6年(2024年)4月20日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

ゲノム医療法の基本計画に提言の反映求める

ゲノム医療法の基本計画に提言の反映求める

ゲノム医療法の基本計画に提言の反映求める

 日本医師会と日本医学会は3月13日、日本医師会館小講堂で合同の記者会見を開催し、政府におけるゲノム医療法の基本計画の策定をにらみ、多数の関係省庁が関与した上で、研究の推進や改正個人情報保護法の見直し、遺伝教育の充実、遺伝子検査ビジネスへの適切な規制などに取り組むことを求める「『良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律』に関する提言」をまとめたことを報告した。
 今回の提言は、日本医学会の下に設けられた「『遺伝子・健康・社会』検討委員会」でその原案が取りまとめられ、日本医学会所属の142分科会の意見を聞いた上で、日本医師会との共同提言として公表されたものである。
 会見には、日本医学会から門脇孝日本医学会長、福嶋義光日本医学会「遺伝子・健康・社会」検討委員会委員長/信州大学医学部特任教授、高田史男同委員会委員/北里大学大学院医療系研究科教授が、日本医師会から松本吉郎会長、角田徹副会長、黒瀨巌常任理事が出席。
 冒頭、門脇日本医学会長は、今回の提言について、「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」(以下、ゲノム医療法)が昨年6月16日に施行され、現在、基本計画の策定作業が進められていることを踏まえ、そこに組み入れるべき事項を取りまとめたものになっていると、共同提言を取りまとめた背景を説明。
 続いて松本会長が、「医療界にとっても大変重要な内容であり、日本医学会からの要請もあったことから、今回、共同提言を出すことにした」と公表に至る経緯を報告。ゲノム医療法は、ほとんど全ての医学・医療分野に関連し、関係する省庁も多数にわたることから、今後、日本医学会と協力してゲノム医療法の基本計画に本提言を組み入れるべく、関係各方面に働き掛けていく考えを示した。
 本提言の内容について概説した福嶋委員長は、「ゲノム医学と言うと、従来は研究の側面が強かったが、その成果を医療に生かせる時代がやってきた」とした上で、ゲノム医療法はゲノム医療のスタートであるとの認識を強調。
 総論においては、(1)ゲノム医療の実現に向け、国がゲノム関連データを用いた研究を推進する、(2)充実したゲノム医療施策に関する基本的な計画を策定する、(3)ゲノム医療はさまざまな医学・医療にとどまらず、教育、産業、ビジネス、個人情報保護、差別問題、生命保険などの民間保険等々、多岐の領域にわたることから、多数の関係省庁が全て参画・関与して、基本計画を策定する―ことなどを求めているとした。
 その上で、厚生労働省のみならず、文部科学省や総務省、経済産業省なども協力して、研究推進のための検討や、研究の足かせとなっている改正個人情報保護法の見直し、遺伝教育の充実、遺伝子検査ビジネスについての適切な規制、遺伝カウンセリングを含む遺伝医療の提供体制整備、ゲノム情報による不利益を被らないための罰則のある法律策定についての検討を行うことを要望していると紹介。
 また、各論では、「目的」「定義」「基本理念」「国の責務」「地方公共団体の責務」「医師等及び研究者等の責務」「財政上の措置等」を整理するとともに、ゲノム医療の研究開発の推進に関し、ゲノム医療を受けることについて地域格差が生じることのないような取り組みや、生命倫理への適切な配慮などを記しているとした。
 高田委員は、ゲノム医療法が成立するまでの経緯を説明するとともに、「政府の強力なリーダーシップの下、本法の趣旨が医療に限定されることなく、国民の健康と安全、幸福のため、幅広い領域にもれなく施策が及ぶ体制が構築されるよう、多方面からの更なるご支援をお願いしたい」と述べ、本提言がその一助となることに期待を寄せた。

お知らせ
 日本医師会と日本医学会で取りまとめた「『良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律』に関する提言」の全文は日本医師会ホームページでご覧頂けます。ぜひご覧下さい。
https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20240313_3.pdf

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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