日本医師会定例記者会見 1月24・31日
渡辺弘司常任理事は、以前から問題となっていた学校健康診断実施時の服装に関する取り扱いについて、1月22日に文部科学省から通知(「児童生徒等のプライバシーや心情に配慮した健康診断実施の環境整備について」)が発出されたことを受け、その内容に関して現場や国民に誤解が生じないよう、解説を行った。
渡辺常任理事は、まず、学校健康診断における服装の問題については、以前から文科省と意見交換を行っており、各所で「学校医は学校保健安全法に示されている項目に対し、精度の高い適切な診断を行う責務がある一方、学校側は、診断可能な環境を整備する義務がある」と主張してきたことを紹介。
また、学校健康診断は、確定診断を行うものではなく、学校生活を送るに当たって支障があるかどうかのスクリーニングをするものであるとするとともに、服装によってその範囲や精度に影響がある、(1)脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無、(2)皮膚疾患の有無、(3)心臓の疾病及び異常の有無―の項目について、具体的な影響等を説明した。
渡辺常任理事は、「診断項目に関してどこまで正確な判断を求め、各項目の具体的実施方法をどのようにするのかに関し、全国で統一・均一のルールを示すことは難しい」とした上で、同通知では、児童生徒にとっての懸念事項である健康診断時の格好及び実際に健康診断を行う際に、学校医がどういう観点で、どのような場所を、どのように診るのかができる限り具体的に記載されているとの見方を示し、「児童生徒、保護者、学校、学校医の間の共通理解を図る上で意義のある内容である」と評価した。
次に、マスコミによる報道について触れ、本問題に関心を持ってもらえること自体はありがたいものの、「原則着衣で」という表現には注意が必要との考えを示し、「"普通に服を着ていればよく、学校医に診てもらう時も服を着たままで問題ない"との誤解を招いてしまう懸念がある」と述べ、体操服・下着等、またはタオル等といった着脱しやすい衣類を身に付けて準備してもらい、実際に学校医が身体を診る場合には、診断に必要な部位を示してもらうという趣旨であることを解説。「具体的なやり方について、あらかじめ児童生徒が分かっていれば、心配が軽減されるとともに、(学校医も)健康診断をやりやすくなり、その精度も確保される」とした。
渡辺常任理事は最後に、同通知によって、令和6年度の学校健康診断が円滑に実施されることに期待感を示すとともに、日本医師会としても都道府県医師会にしっかりと理解してもらえるよう情報発信を行うことや、日本医師会の学校保健委員会において、『学校医のすすめ~そうだったのか学校医』(今春発行予定)という冊子の作成を進めていることを説明した。
関連資料
問い合わせ先
日本医師会健康医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)