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令和5年(2023年)7月5日(水) / 南から北から / 日医ニュース

和装ノススメ

 この随想が載る頃には、季節も初夏~盛夏といったところでしょうか。夏と言えば、例年7月末~8月初旬にかけて甲府駅北口で開催される、「地ビールフェスト」が思い出されます。
 数年前から、地ビールフェストに参加する時は浴衣を着ていくことにしています。きっかけは、何となくネットで服のコーディネートを見ていた時に目に留まった浴衣ファッションでした。帯、雪駄(せった)込みで1万円前後のものだったのですが、試しに買ってみました。さてどこに着ていこうかな、と思っていた時に地ビールフェストの時期になりました。「そうだ、地ビールフェストに着ていこう」。さて、そこからが、僕の和装人生の始まりです(大げさです)。
 わが家には娘が二人いまして、成人式の時に振袖を作ったのですが、決める時に一緒に呉服屋さんに行ったところ、自分も猛烈に着物を作ってもらいたくなったのです。で、展示会に誘われて、行ってみました。
 展示会には魔物が潜んでおります。その道では高名な織匠(しょくしょう)の先生方が展示会のために来県しており、そこで反物(たんもの)の紹介を受け、試しにと着せてもらいます。これが見事なもので、反物のまま、あたかも縫製の終わった着物のように着せてくれるのです。織匠の先生含め、担当の人達皆さんに褒めちぎられます。こうなると、気に入ってしまいます。で、初の着物購入となりました。この時は「米沢織」の反物でした。羽織を決め、帯を決め、足袋(たび)や襦袢(じゅばん)も決めたところで、見積もりが出ました。目玉が飛び出そうな金額ですが、ここまで来たなら、と即決し採寸してもらいました。仕立て上がるまで約2カ月程度。担当の方が自宅まで着物を届けてくれました。
 で、いよいよ着てみました。帯の結び方は、男性は簡単なのでYouTubeを参考に「貝の口」というオーソドックスな結び方で着てみました。多少出ているお腹が妙にしっくりときて、我ながら似合うな、と感じました。お腹が出ていると、帯の角度が良い感じになると、後に言われました。さて、この着物を着て、どこに行こう。ということで、翌年の初詣~お年始回りに着て行きました。これが結構評判が良かったのです。そうなってくると2着目が欲しくなります。
 で、再度伏魔殿(展示会)へ。2着目は「結城紬」の着物を購入。反物から鮮やかに着せられ、やはり即決。前回よりも目玉の飛び出し具合が強かったのですが、物欲に流されました。その頃、当院の職員さんの結婚式が相次いだため、本人達の承諾を得て、親族でもないのに着物で列席させてもらいましたが、ここでもなかなか好評でした。
 そして、つい先日3着目の着物が仕立て上がりました。今回は「野蚕糸(やさんし)」で織られた反物を使っています。野生の蚕の糸を使っているので、若干粗い風合いではありますが、帯もキュっと締まり、とても良い感じです。色合いも、今までのものが濃い茶色や濃紺だったのですが、今回は比較的淡い黄色の反物で、ちょっと華やかな印象です。
 さて、今度はこれ着てどこに行こう。

山梨県 山梨県医師会報 NO.620より

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