令和4年度(第56回)臨床検査精度管理調査報告会が3月3日、日本医師会館大講堂で開催された。
本報告会は、新型コロナの影響により、令和元年度から令和3年度までは中止(WEB配信のみ)されており、人数を制限した上で4年ぶりの開催となった。
江澤和彦常任理事の司会で開会。松本吉郎会長と榎本健太郎厚生労働省医政局長(代読:原慎治同局地域医療計画課医療関連サービス室長)があいさつを行った。
あいさつの中で松本会長は、新型コロナの感染症法上の位置付けが5月8日より2類相当から5類に類型変更されることが決定したことに触れ、「新型コロナの対応が5月8日を境にして一変するわけではなく、段階的にコロナと通常医療の両立を図っていくことが大事になる」と述べ、ソフトランディングする形で対応していくことが望ましいとした。
また、引き続き新型コロナの感染力は強く、罹患する人によっては深刻な影響を及ぼす可能性があることから、これまでの医療提供体制を崩さないために、医療現場の混乱を来さず、患者に安心して医療を受けてもらうための対応を政府に要請していくと説明。更に、発熱外来の仕組み自体は無くなるものの、かかりつけ医として外来診療体制の更なる強化も行っていく必要があるとした。
松本会長は最後に、「患者に質の高い医療を提供するためにも、病院の検査部門や衛生検査所の検査結果は、診察する医師やかかりつけ医にとって必要不可欠である」と強調し、本報告会の内容を会場の参加者だけでなく、検査部門の従事者全員に確認してもらえるよう要請した。
当日は、3211施設が参加した第56回臨床検査精度管理調査に関する、(1)臨床化学一般検査1、(2)臨床化学一般検査2、(3)臨床化学一般検査3・糖代謝・尿検査、(4)酵素検査、(5)脂質検査、(6)腫瘍マーカー、(7)甲状腺マーカー・感染症マーカー・リウマトイド因子、(8)血液学的検査、(9)測定装置利用の動向、(10)総括―について、日本医師会臨床検査精度管理検討委員会委員による講評が行われた後、総合討論が行われた。
総括では、高木康委員長が、今年度は施設情報画面を充実させるとともに測定装置コードの入力促進画面を追加したことを報告。測定法・試薬メーカーは同じでも装置で結果が違う場合や、装置情報がないと評価できない項目もあることから、「必ず登録して欲しい」と強調した他、例年と同様の誤登録が引き続き見られることから、間違いやすい項目を示した上で改めて注意を促した。
また、今回の結果講評として、①トレーサビリティ確認は年々増加しており、確認施設のバラツキが小さく、3SD以上の乖離(かいり)施設も少ないので、今後も定期的な確認をお願いしたい②臨床化学一般項目、酵素項目ではバラツキが小さく、施設間互換性が確保できている状態である③腫瘍マーカーのバラツキはあまり改善されておらず、装置・試薬間差が大きい④免疫学的測定法は試薬・装置間差が大きく、今後の改善が必要である―ことなどを説明した上で、「今後とも国民の健康福祉向上のために、互換性のある臨床検査を社会に提供できるよう頑張りましょう」と引き続きの協力を呼び掛けた。
総合討論では、事前に参加施設等から寄せられた質問や意見に対し、担当委員がそれぞれ回答を行った。