仲本光一岩手県奥州保健所長を講師とした講演会が8月23日、令和4年度第6回理事会終了後に日本医師会館小講堂で開催された。
仲本所長は、自身が外務省入省後、6カ国の在外公館の医務官、本省の診療所長を務めた経験を基に、「テロの被害を最小限にとどめるために」をテーマとして講演。その中では、まず、安倍晋三元内閣総理大臣が銃弾に倒れ亡くなった事件に触れ、「平和に見える日本においても、銃を使ったテロ事件が起きる可能性があることを認識しなければならない時代になっている」と指摘した。
その上で、銃撃テロに遭遇した場合の対応として、「爆発音、銃撃音を聞いた際には直ちに伏せる」「避難が困難な場合は隠れる」「可能であれば、外部の支援を要請する」「暴走する車両が突入してきた場合、車の走行ルートから離れ、群衆と同じ方向に逃げない」といった、日本外務省(領事局)が推奨する対処法などを概説。被害の限局化を図るためにも、平素からその準備、訓練を行っておくことが必要になると強調した。
また、多くの人々が巻き込まれる大規模災害・事故・テロなどが起きた際には、被災者や被害者のこころのケアが重要だとして、『サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き第2版』(日本語版)を紹介し、その活用を求めた。
その後の役員との質疑の中で、昨今、医師が患者から襲われるといった事例が多発していることへの対処法を問われた仲本所長は「こういったことが起きる可能性があると、日頃から意識することが必要になる」との考えを示した。