松本吉郎会長は7月27日、記者会見を行い、新型コロナウイルス感染症の感染が急拡大する中で、全国の都道府県・郡市区医師会、そして医師会員の先生方のこれまでの尽力に感謝の意を示すとともに、検査試薬等の不足を防ぐ施策の強化などを要請。一方、釜萢敏常任理事は「状況改善への方策」(別掲)を示し、その実現に向けた協力を求めた。 |
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松本会長は医療現場の状況について、「行政の搬送受入調整本部、保健所も含め、現場は懸命に努力をしているが、今回の新規感染者数の増加はあまりにも急激で、非常に困難な状況に置かれている」と指摘。政府及び都道府県等の行政に対しては、各医療現場で検査試薬や検体採取材料、検査キット等の不足が起こることがないような施策の強化とともに、マンパワーが限られる診療所などの医療機関では特に負担が大きいため、HER―SYSの入力の一層の簡素化を求めた。
また、感染者数が増加すれば、相対的に入院が必要な人も増え、新型コロナ以外の患者も含む救急医療に大きな支障が出ることを、総務省消防庁による「各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査」の結果を基に説明。屋内等で人と話す際などにはマスクを着けるなど、基本的な感染防止対策が重要になるとした。
現在のオミクロン株への対応については、「発熱外来診療体制の更なる強化が不可欠であるが、各地域医師会のリーダーシップと現場の努力により、発熱外来診療体制は既に、診療・検査医療機関が約3・9万施設、また、地域医師会等の運営による地域外来・検査センターは457施設に達している」として、全国の医師会と医師会員に対して現在までの尽力に心からの感謝の意を示す一方で、過去にない感染拡大には、オールジャパンで対応しなければならないと強調。
その観点から、7月27日付で都道府県・郡市区医師会宛てに文書を発出し、構造上等の理由や、がんや人工透析等の重症化リスクを抱える患者を感染から守るため、診療・検査医療機関の指定を受けられない医師会員には、例えば地域医師会等による地域外来・検査センターや拠点的な病院の発熱外来に交代制で出務してもらうとともに、かかりつけ患者のみを対象としている診療・検査医療機関には、広く地域の発熱患者を診てもらうことを求めたことを明らかにし、「日本医師会は、今後も政府に対してさまざまな支援措置を要望し、現場を支えて参りますので、医療現場の皆さんには感染が峠を越えるまでもう一息頑張って頂きたい」と述べ、引き続きの協力を求めた。
その他、松本会長は、7月22日、岸田文雄内閣総理大臣との会談で協力を求められた診療・検査医療機関で抗原定性検査キットを有症状者に配布することについて、「現場に混乱を生じさせず、感染拡大を起こさないよう、効率よく行う必要がある。各都道府県医師会と都道府県行政は協議の上で、各地域の実情に合った仕組みを早急に築かなければならない」と強調。日本医師会としても、全国知事会に対して協力を求める考えを示した。
「状況改善への方策」を提示―釜萢常任理事
会見に同席した釜萢常任理事は、新型コロナウイルス感染症への対応について、地域の実情に応じた対応が必要であることが大前提とした上で、全国から日本医師会に寄せられた情報を基に、「外来に関しては、受診希望者の急増により受け入れ困難状況が多発している」「入院については、一部の地域で病床使用率が大きく上昇しているが、まだ重症者の入院は急増してはいない」との現状認識を明らかにした。
その上で、喫緊の課題は外来で受診を希望する人達への対応であるとして、4点からなる「状況改善への方策」を提示。会員の理解と協力の下に地域の医師会が主体的な役割を果たし、その方策を実現することに期待感を示した。
状況改善への方策
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日本医師会 健康医療第2課、地域医療課 TEL:03-3946-2121(代)