閉じる

令和4年(2022年)5月20日(金) / 日医ニュース

「医療人を育む一歩から~医師の多様な働き方について~」をテーマに

「医療人を育む一歩から~医師の多様な働き方について~」をテーマに

「医療人を育む一歩から~医師の多様な働き方について~」をテーマに

 第16回男女共同参画フォーラムが、「医療人を育む一歩から~医師の多様な働き方について~」をテーマとして、大分市内で開催され、日本医師会からは中川俊男会長を始め、今村聡副会長、神村裕子常任理事が出席した。
 当日は、基調講演(2題)、報告(2題)、シンポジウム等が行われ、医療現場や医学部における女性医師への支援や意識改革への取り組み状況などが紹介された。
 当日は、河野幸治大分県医師会副会長による開会宣言で幕を開け、中川会長と近藤稔大分県医師会長、来賓の広瀬勝貞大分県知事があいさつした。
 中川会長は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により令和2年度より延期していた本フォーラムが開催に至ったことに謝意を示した上で、「令和3年度の医学部入試において、女性の合格率が初めて男性を上回り、今後ますます医療界に女性医師が増えていくことを実感させられる」と強調。本フォーラムが、医師の多様な働き方を支援し、誰もがいきいきと働き続けられる医療界をつくる一助となるよう期待を寄せた。

基調講演

 基調講演では、まず、白根雅子日本眼科医会長が、女性が4割以上で、若年層では半数近い眼科においては、若い女性医師の能力が発揮できる環境整備が急務であると説明。日本眼科医会では役員、代議員、委員会委員の女性参画を30%以上とすることを目標に取り組むとともに、委員会に各ブロックから男女の委員が参画できるよう増員しているとし、多様な人材を登用することでダイバーシティを推進していく考えを示した。
 また、宮本伸二大分大学医学部附属病院心臓血管外科教授は、急患が多く、家族と過ごす時間も確保しにくい心臓血管外科には女性が6・2%しかおらず、外科系学会の女性参画比率も著しく低いことを概説。手術よりもICUでの術後管理に要する時間が負担とされていることから、タスクシフティング内容をパッケージ化し、ICTを用いて情報共有することで働き方改革を進めているとした。

報告

 報告では、越智眞一日本医師会男女共同参画委員会委員長が、同委員会の取り組みについて解説した上で、2020年までの目標として提案していた各都道府県医師会、日本医師会代議員・役員・会内委員会の女性比率のうち、最も目標値に遠いのは日本医師会代議員であると指摘。女性医師の就業継続は医師不足や偏在の是正にもつながり、多様な働き方を実現する好環境を生み出すとして、最終的には安心・安全な医療の提供につながることを強調した。
 神村常任理事は、日本医師会女性医師支援センター事業において、出産や育児により離職せざるを得ない女性医師を中心に、柔軟な勤務形態の促進やキャリア形成の支援を無料で実施し、現在、女性医師バンクには約3000名の医師が登録、男性やシニアの相談も増えていることを紹介。今年4月から育児・介護休業の取得要件が緩和されたことにも触れ、男性の取得を促す環境整備は医療機関の責務であるとした。

シンポジウム

 続いて行われたシンポジウムでは、漆野恵子医師(中津市民病院心臓血管外科)が、長時間労働が美徳とされていた心臓血管外科に勤務しながら出産、子育てができた背景に、周囲の理解と協力があったことを回顧。その後、幼い子ども2人を連れてドイツへ留学し、自身のがん闘病を経て再びドイツに渡り、数々の試験を乗り越えて医師免許を取得したとし、多国籍な医療従事者からなる病院の様子などを紹介した。
 松浦恵子大分大学学長特命補佐(ダイバーシティ担当)/男女共同参画推進室長は、今年度より、県・県医師会・大学病院が三位一体となり、県下病院での女性医師復帰支援プログラムを、診療科ごとに作成するよう依頼したことを報告。大分大学では、医学部附属病院の「女性医療人キャリア支援センター」が、医学部リーダーを対象としたアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見・思い込み)研修や女性医師交流会、キャリアパス相談会、医療人パパの会など、さまざまな活動を展開していることを説明した。
 小野宏大分県福祉保健部医療政策課長は、県としての医師の長時間労働対策のため、時間外労働上限規制に係る病院ヒアリングや、地域医療介護総合確保基金を活用した勤務医の労働時間短縮に向けた体制整備事業を実施していることを紹介。女性医師支援としては、女性医師短時間正規雇用支援事業や院内保育への支援、女性医療人キャリア支援センター事業への支援などを行っているとした。

総合討論

 総合討論では、参加者からのキャリア形成のあり方や男性医師を対象にした意識改革の取り組みなどの質問にシンポジストが回答。
 コメンテーターとして参加した今村副会長は、「日本医師会が医学生向けに発行している『ドクタラーゼ』を使って、男女問わず、医師の働き方を啓発していきたい」と述べるとともに、その活用を求めた。
 最後に、次期担当県である三重県医師会の二井栄会長があいさつし、藤本保大分県医師会副会長が閉会の辞を述べた。
 なお、次回フォーラムは令和5年5月27日に三重県四日市市内で行われることになっている。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる