宮川政昭常任理事は昨年12月22日に開催された令和2年度第27回常任理事会で、日本医師会が昨年9月に「令和3年度医療に関する税制要望」として取りまとめた15項目のうち、与党が同年12月10日に決定した「令和3年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)」に盛り込まれた項目等について報告を行った。
日本医師会では、要望事項の実現に向けて、厚生労働省を始め関係各方面に働き掛けを行うとともに、与党税制調査会での検討に向けて、要望活動を継続的に行ってきた。
その結果の概要は、次のとおりである。
(1)制度の存続として、「社会保険診療報酬に係る事業税非課税、医療法人の自由診療等部分に係る事業税の軽減税率」及び「社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階税制)」が認められた。
(2)期限の到来する制度の延長等として、「医療機関の設備投資に係る特別償却制度」の2年延長・見直し、「中小企業経営強化税制」の2年延長・見直し、「中小企業投資促進税制」の2年延長・見直し、「中小企業防災・減災投資促進税制」の延長・見直しが、それぞれ認められた。
なお、「医療機関の設備投資に係る特別償却制度」の一つである「高額の医療用機器の特別償却制度」において、全身用CT及び全身用MRIについては、配置効率化等を促すための要件が病院に加えて、診療所にも課されることとなった。
(3)制度の拡充として、「個人版事業承継税制の対象資産の拡充」が認められた他、対象資産について、これまでの土地建物、機器等に加え、乗用自動車で一定のものが追加されることになった。
(4)関連項目として、「中小企業者等に対する法人税の軽減税率の特例」が2年延長され、「地域医療構想実現に向けた登録免許税の優遇措置の創設」「社会医療法人の認定要件の特例的取扱い」及び「生産性革命の実現に向けた償却資産に係る固定資産税の特例措置の延長」が認められた。
(5)「基金拠出型医療法人における負担軽減措置の創設(所得税)」「地域医療構想実現に向けた不動産取得税・固定資産税の優遇措置」については、大綱に記載はないが検討事項とされた。
「基金拠出型医療法人における負担軽減措置の創設」は、日本医師会が強く要望した項目であり、持分あり医療法人から持分のない基金拠出型医療法人に移行する際の「みなし配当所得課税」の繰り延べと、基金に係る相続税・贈与税の猶予を求めるものであったが、このうち、「みなし配当所得課税」について、引き続き検討されることとなった。