横倉義武会長は4月28日、日本外国特派員協会の招待に応じて、ライブ配信による記者会見を行い、新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの日医の取り組み等について、説明を行った。
横倉会長は、新型コロナウイルス感染症の重症者数を抑えるためにも感染者数を少なくする必要があり、国民に行動変容を求めているとした上で、日本が諸外国に比べて感染者や死亡者数が少なく済んでいる理由については、医療従事者の努力に加えて、国民皆保険制度の下での医療へのアクセスの良さ、人口1000人当たりの急性期病床数の多さがあると指摘した。
日医は、医療への対策として、①国民への普及・啓発、医療のかかり方②外来の対策③入院の対策④診断キット、治療薬、ワクチンの早期開発―の観点から、その改善を求めてきたとした他、新しい知見を医療現場に届けるため、「日本医師会COVID-19有識者会議」を設置したことなどを紹介した。
その上で横倉会長は、「国には予算面でさまざまな配慮をしてもらっているが、引き続きそういったものを活用しながら、感染爆発、医療崩壊が起きないよう努めていきたい」と述べた。
その後の記者との質疑応答の中では、院内感染の問題について、その大きな要因は防護具や消毒液の不足にあるとして、その解消を求めるとともに、新型コロナウイルス感染症を診ている医療機関内において導線をしっかりと分ける必要があると指摘。医療従事者への風評被害に関しては、国民に理解を求める動画を制作し、日医ホームページなどに掲載していることを紹介した。
保健所数に関した問いに対しては、保健所を減らし過ぎただけでなく、職員も減らしたことが今回の事態を招いた大きな要因になっているとの考えを示した。
来年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に関しては、開催できるか否かは世界の感染状況が大きなキーポイントになるとし、開催のためにもワクチンや治療薬の開発を急ぐべきであると強調。「今後は、一時的に収束したとしても第2波、第3波が起きる可能性は高く、その対策のためにも、PCR検査の迅速キットの開発や、どの薬をどの時点で使用すべきか等を明確に示す必要がある」とした。
なお、当日の記者会見の模様は、同協会のYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/user/FCCjchannel)で視聴可能になっている。